データセンター選びで重要なディザスタリカバリによるバックアップ体制とは?
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります
ディザスタリカバリとは予期せぬ災害が発生した際に、影響を受けたシステムを迅速かつ確実に復旧させる対策のことです。東日本大震災により多大な被害を受けた企業も少なくありません。そこで近年、BCP対策と同様に災害対策としてディザスタリカバリが注目を集めています。この記事では、ディザスタリカバリについての解説やディザスタリカバリが求められるようになった背景、そしてバックアップ体制について解説します。
ディザスタリカバリとは
ディザスタリカバリとは主に災害復旧のことです。予期せぬ災害によりシステムダウンやデータ破損などの問題が生じる恐れがあります。ディザスタリカバリを行うことで仮にシステムがダウンした際に、迅速かつ確実にシステムを復旧させることが可能です。ディザスタリカバリと同じ意味で使われることが多い対策にBCP対策があります。ディザスタリカバリとBCP対策の違いとして、ディザスタリカバリは主にシステム復旧が目的で使われます。対してBCP対策は事業全体の復旧計画のことを指しているため、両者には明確な違いがあります。また、ディザスタリカバリを考えるうえで重要な指標が以下の2つです。
- ・RPO:Recovery Point Objective
- ・RTO:Recovery Time Objective
RPOは目標復旧地点という意味で、対象のシステムをどの地点まで復旧させるかを示す指標です。RPOが0秒の場合は直前、RPOが5日であれば5日前のデータに復旧可能です。
RTOは目標復旧時間という意味で、対象のシステムがいつまでに復旧するかを示す指標です。RTOが短いほど復旧に求められるスピードが速いと考えられます。
データセンターでディザスタリカバリが求められる背景
データセンターの災害対策として、ディザスタリカバリが注目され始めた主な要因が東日本大震災の影響です。企業の本拠地が被災地から離れていたとしても、データセンターが被害を受けたことにより倒産・廃業となってしまった企業も少なくありません。また、震災では企業全体の約65%が事業活動を縮小する影響を受けた、という調査結果もでています。
震災を経験したことで、災害で被害を受けたシステムを復旧することに注力したディザスタリカバリの実施が増えたのです。ディザスタリカバリを行うことで、災害時であっても企業の活動を継続できます。また、早急に復旧させることで金融・医療・通信・運輸などの業務が災害時でも滞りなく行えるようになります。それゆえ、自然災害の多い日本ではディザスタリカバリ対策がさらに重要視されるのでしょう。
データセンターごとバックアップする
データセンターごとバックアップする方法として、地理的に離れた場所にレプリケーションをしてバックアップする方法があります。レプリケーションとはデータを別のシステムに複製し、完全なレプリカを作成してリアルタイムに更新し続けることです。メリットとしては、システムダウンが起こった際にレプリカをそのまま活用できるので、高速復旧が可能になります。また、システム障害が発生した際は待機システムへのスイッチで事業継続が可能です。
RPOとRTOのどちらの観点からも迅速な復旧が求められているのであれば、レプリケーションは非常に最適な方法といえるでしょう。しかし、注意点としてレプリケーションを行うためにかかるコストは約2倍かかるといわれています。また、リアルタイムでレプリカを作成することから、ウイルスもコピーしてしまう恐れがあるため注意が必要です。
クラウドへバックアップする
災害時にバックアップを行う際、データセンター内では対応できないため、クラウドへバックアップをすることでリスクを分散できます。クラウドバックアップとは、クラウドサーバーにデータを複製して保管する方法です。クラウドバックアップを利用すると以下のようなメリットを得られます。
- ・被災をしてもメインとなる業務がサービスを継続できる
- ・データのみのバックアップをする際、被災してもデータを守ることが可能
- ・パブリッククラウドでは費用を抑えながらのバックアップ体制が可能
- ・サーバーを管理する専門のエンジニアが不要
- ・サービスによっては低価格で利用できる
クラウドへバックアップすることにより、以上のような多くのメリットを得られます。しかし、注意点としてはセキュリティへの懸念があります。クラウドバックアップではデータ管理をすべて他社にゆだねることになるため、注意が必要です。
まとめ
データセンター選びで重要なディザスタリカバリとは災害復旧のことです。ディザスタリカバリを行うことで被災をしていても迅速に復旧し、企業の活動を継続できます。また、ディザスタリカバリによるバックアップ体制は以下の2つです。
- ・データセンターごとバックアップする
- ・クラウドへバックアップする
記事で紹介したそれぞれのメリット・デメリットを踏まえ、自社に最適なバックアップ体制選びの参考にしてください。