降雪量の多い地域で結束バンドを使用する際の凍結防止剤対策について
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります
ケーブル類をまとめたり固定したり、DIYにも活用可能な結束バンドは、素材によって特性があり、屋内はもちろん屋外でも利用されている便利なアイテムです。降雪量の多い地域では、路面の凍結を防ぐために凍結防止剤や融雪剤が使われています。そのため、降雪量の多い地域で結束バンドを使用する際には、凍結防止剤や融雪剤への対策が不可欠です。
そこで今回の記事では、凍結防止剤や融雪剤が使われている地域に合う結束バンドの耐性や素材について解説します。
目次
凍結防止剤・融雪剤とは
路面の凍結を防ぐために撒かれる凍結防止剤や融雪剤は、結束バンドとの相性がよくありません。
凍結防止剤
主に塩化ナトリウムが使用されており、雪が降る前に路面が凍結することを予防する目的で散布されます。
融雪剤
主に塩化カルシウムが使用されており、降り積もった雪を溶かす目的で散布されます。
このように、凍結防止剤や融雪剤には塩が入っていますが、塩分は結束バンドの劣化速度を早めます。
結束バンドの劣化が進むと、突然断線してまとめていたものがばらけたり、固定していたものが外れたりなど、使う場所や結束物によっては思わぬ事故につながる可能性があります。
降雪量の多い地域に合う結束バンドの耐性
降雪量の多い地域の、特に屋外では耐候性だけではなく、凍結防止剤や融雪剤対策をしなければなりません。
そこでここからは、降雪量の多い地域に合う結束バンドの耐性を3つ紹介します。
屋外での紫外線対策には耐候性
耐候性とは、太陽光に含まれている紫外線の影響を受け、分子構造の破壊を防ぐことをいいます。
紫外線は、特にプラスチックの性質を浸食し色褪せや光沢がなくなり、粉化現象(チョーキング)が起こり脆くなります。
また、引張強度や伸長度が失われるため、しっかりと結束できません。
パンドウイットの耐候性結束バンドには、「カーボンブラック」が含まれており、耐紫外線性を高めています。
カーボンブラックとは、混合させた物質の性質を損なわず、最も効果のある安定剤として知られています。
凍結防止剤・融雪剤対策には耐薬品性
耐薬品性とは、酸やアルカリ、有機溶剤、塩類など各薬品に対しての耐久性をいいます。
結束バンドの劣化速度はさまざまな要因から決められますが、中でも化学薬品の耐久性が大きく影響されます。
結束バンドが酸やアルカリ、塩類などに触れると、浸食や溶解、膨張などの反応が生じるためです。
凍結防止剤と融雪剤対策には、塩化ナトリウムと塩化カルシウムが使用されているため、積雪量の多い地域では耐薬品性が重要です。
雪による湿気対策には耐湿性
耐湿性とは、雨や雪だけではなく、大気中に含まれている水分に対して変質しにくく、化学反応が起きないことをいいます。
耐湿性のない結束バンドを、高い湿度の環境に置くと水分を吸収し、加水分解により引張強度が著しく低下し、結束バンドの寿命が縮みます。
そのため、積雪量が多い地域では、雪による水分の吸収を防ぐために耐湿性が重要です。
高い湿度とは逆に、乾燥した場所で使用した際にも結束バンドの劣化は進みます。
降雪量の多い地域におすすめの素材
積雪量が多い地域の過酷な環境下では、耐候性の他にも耐薬品性や耐湿性が必須です。
ここでは、降雪量の多い地域におすすめの結束バンドの素材を4つ紹介します。
耐候性ポリプロピレン
耐候性ポリプロピレン製は、よく使用されている素材のひとつで、入手しやすい結束バンドです。
ポリプロピレンの大きな特徴は、耐候性はもちろん、耐薬品性や強度、耐熱性にも優れていることです。
また、融雪材が反応して発生する塩化亜鉛に対して最も耐性があります。
- ・屋外での使用予測年数:7年から9年
- ・使用できる温度の範囲:マイナス60度から115度
- ・吸水率(24時間):0.1パーセント
ナイロン12
ナイロン12製は、一般的に広く利用されている素材のナイロン6,6製よりも優れた結束バンドです。
ナイロン12製の特徴は、屋内での使用での寿命が33年と長く、耐薬品性や耐寒衝撃性に優れていることです。
- ・屋外での使用予測年数:12年から15年
- ・使用できる温度の範囲:マイナス60度から90度
- ・吸水率(24時間): 0.3パーセント
テフゼル
テフゼルは、より過酷な環境での使用に適した、フッ素樹脂でできた結束バンドです。
テフゼルの大きな特徴は、耐候性や耐薬品性に優れているだけではなく、耐寒性や絶縁性、難燃性もあります。
- ・屋外での使用予測年数:15年以上
- ・使用できる温度の範囲:マイナス60度から170度
- ・吸水率(24時間):0.03パーセント
ステンレス
ステンレス製は、配管の固定や機械の補修などに用いられる結束バンドです。
ステンレスの特徴は、耐久力と強度に優れているため、過酷な環境での使用が可能であることです。
- ・屋外での使用予測年数:30年以上
- ・使用できる温度の範囲:マイナス60度から538度
- ・吸水率(24時間):なし
まとめ
積雪量の多い地域では、雪を溶かすための凍結防止剤として塩化ナトリウムや、融雪剤として塩化カルシウムが使われています。
どちらも塩が含まれており、結束バンドの素材であるプラスチックとの相性はよくありません。
そのため、凍結防止剤や融雪剤が散布される地域で結束バンドを使用する際には、耐候性・耐薬品性・耐湿性の3つの耐久性に優れた素材を選ぶと結束バンドの劣化を防げます。
ただし、結束バンドの寿命は素材によって差があるため、定期的に確認をしたり取りかえたりして断線による結束物のばらけや落下を防ぎましょう。