屋外でも強力に使用できる結束バンド
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります
結束バンドとは、ケーブルやコードをまとめたり固定したりできる他にも、ガーデニングやメンテナンスなど幅広く活用できるアイテムです。結束バンドは素材ごとにさまざまなものが販売されており、それぞれ強みが異なります。
結束バンドには使用する環境ごとに適している素材があるため、屋外で結束バンドを使用する際は、使用する環境に合わせた適切なものを選ぶ必要があるのです。
本記事では、結束バンドの耐久性、屋外に適した結束バンドについて解説しています。本記事を見れば、屋外でどんな結束バンドを選ぶと良いのかが分かる内容となっているので、ぜひご覧ください。
結束バンドの耐久性
結束バンドは素材ごとに耐久性や得意とする環境に差があります。そのため、結束バンドを長く持たせるためには、使用する場所に合った耐久性のある結束バンドを使用しましょう。
ここでは、結束バンドの「耐候性」「耐光性」「耐熱性」「耐湿性」「耐化学薬品性」について紹介します。
耐候性
耐候性とは、塗料・プラスチック、繊維、有機素材などの工業製品が、風や雨、温度変化、太陽光などの自然環境に対して劣化や変質を起こしにくい性質のことです。
耐候性は、屋外で使用する素材の耐久性を測る際の目安となります。
自然環境における劣化の要因は、大きく分類して「光、熱、水」の3つです。
光による影響は、太陽光による粉化現象や変色があり、熱による影響は温度変化による素材の膨張や伸縮などがあります。水による影響は、昼夜の温度差による結露、雨による浸食、加水分解などの問題が考えられます。
中でも影響が大きいのが、光(紫外線)だと言われています。
耐候性の低い素材は、屋外で使用すると強度が想定よりも下回り、思わぬ自己につながる可能性があるので、注意しましょう。
そして、耐候性を細かく分けた要素として、後述する「耐光性」「耐熱性」「耐湿性」「耐化学薬品性」などがあります。
耐光性
耐光性とは、プラスチックや繊維、塗料などが太陽光に耐える性質のことです。
太陽光に含まれている紫外線は、結束バンドの素材であるプラスチックの分子構造を破壊します。
耐候性のない結束バンドは太陽光の影響を受けると、チョーキング(粉化現象)や変色、変形などが発生し、引張強度と伸長度が下がります。そのため、屋外や太陽光が差し込む窓側で結束バンドを使用する際には、耐候性のある素材を選びましょう。
耐候性のある結束バンドには、効果的な安定剤として知られている「カーボンブラック」が含まれているため、黒色です。
耐熱性
耐熱性とは、プラスチック素材が高温環境下で変質しないことです。通常プラスチックは、高温・高熱に晒されると柔らかくなり、酸化して脆くなります。そして、脆くなった結束バンドは、衝撃や振動で簡単に壊れやすいです。
結束バンドを使用可能な最高温度は、素材によって差があり、通常のナイロン66 では85℃、耐熱加工を施したナイロン66では115℃です。また、素材の燃え難さを表す難燃性グレードという基準があり、燃焼試験で確認します。
耐湿性
耐湿性とは、高湿度の場所や水蒸気に晒されても劣化しにくい性質のことです。高湿度の環境に晒されたプラスチックは水分を吸収します。水分を吸収すると材質の引張強度が低下し、切れてしまう可能性が高まります。
ナイロン66の吸水率(24時間)は1.2%に対し、ナイロン12では0.3%、ポリプロピレンは0.1%です。また、テフゼルは0.03%と殆ど吸収しないため、湿度の影響はほぼ受けません。
耐化学薬品性
耐化学薬品性とは、酸性・塩類・炭化水素(油・潤滑油)・塩素化炭化水素など、各薬品に晒された際に変質しにくい性質のことです。
耐化学薬品性の低い結束バンドを薬品のある場所や屋外で使用すると、溶けたり膨張したりします。特に結束バンドは塩類に弱いと言われているため、耐化学薬品性は結束バンドの劣化を緩やかにするためには重要な要素です。
ナイロン66は、炭化水素には強いものの耐酸性の面で低く、酸性雨の当たる箇所での使用には向いていないといえます。
また、積雪地方で使用する際には、融雪剤や凍結防止剤に塩化カルシウムや塩化ナトリウムが使用されているため、塩類に強い結束バンドを使用しましょう。
屋外使用に適した結束バンド
屋外で結束バンドを使用するには、紫外線や雨(霜・雪)、気温などに耐性を持った素材を選びましょう。耐性のない結束バンドを使用すると、すぐに劣化して断線の危険性があるためです。
ここでは、屋外での使用に適する結束バンドの素材を紹介します。
ステンレススチールバンド
ステンレス製の「ステンレススチールバンド」は、金属製であるため強度と耐久性に優れています。ステンレスは錆に強く、紫外線や熱、腐蝕にも強いため、屋外での使用に適した素材です。そのため、過酷な環境でも電線やケーブル、ホースや配管などをまとめたり固定したりできます。
ステンレススチールバンドは、ヘッド部やロッキングボール、バンド部の全てが同一のステンレススチールでできています。
また、全ての角が面取りされているため、安全に使用できることも、特徴の1つです。
テフゼル結束バンド
テフゼル製の「テフゼル結束バンド」は、耐候性・耐放射線性に優れています。
また、酸性・塩類・炭化水素(油・潤滑油)・塩素化炭化水素などに強く、耐化学薬品性にも非常に優れている素材です。
テフゼル結束バンドの使用可能な温度は-60℃から170℃で、難燃性グレードは94V-0に適合しています。94V-0とは、UL94燃焼性試験の結果を差します。
耐候性ナイロン12結束バンド
耐候性ナイロン12製の「耐候性ナイロン12結束バンド」は、耐候性・耐化学薬品性に優れています。特に耐塩化亜鉛性や耐塩化カルシウム性能の面で優れており、亜鉛めっき鋼板への使用や、融雪剤や凍結防止剤を撒く積雪地帯でも使用可能です。
また、水分の吸収率が低く耐湿性が高いため、気温の低い地域や雨の多い地域での使用に適しています。
耐候性ナイロン12結束バンドは、ステンレススチールバンド、テフゼル結束バンドに比べると安価であることも特長です。
まとめ
ここまで結束バンドの耐久性、屋外に適した結束バンドについて解説してきました。
結束バンドにはさまざまな種類があり、耐候性や耐熱性、耐化学薬品性の高い結束バンドが屋外での使用に適しています。
屋外で使用した際の予測寿命は、ステンレススチールバンドは30年以上、テフゼルは15年以上、耐候性ナイロン12では12年から15年です。結束バンドの素材次第で耐久性には差があるため、結束バンドを購入する際には、「屋外用」や「耐候性」と記載されている物を選びましょう。