ハイパースケールデータセンターとは?従来型コロケーションとの違いも比較!
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります
データセンターの需要が高まる中、膨大なデータ処理とストレージを必要とする企業はどのようなデータセンターを利用すればよいのでしょうか。そこで近年、需要が高まりつつあるのがハイパースケールデータセンターです。「ハイパースケールデータセンターとは何?」「コロケーションとは何が違うの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
この記事では、ハイパースケールデータセンターの概要や従来型のコロケーションとの違い、需要が高まっている理由について解説します。
ハイパースケールデータセンターとは
ハイパースケールデータセンターとは、膨大なデータ処理とストレージを必要とする企業が建設する大規模な施設のことです。主に高速な仮想ネットワークを介して接続される5,000以上のサーバーを格納しており、平均で25MW以上の電力容量を有しているとされています。企業は施設内で稼働するアプリケーションや、直接Webページから収益を得ることができ、第三者にテクノロジーマネジメントサービスを販売することでも収益を得ています。
現在、ハイパースケール施設は世界のデジタルシステムの多くを動かす中心です。完全なアウトソース化が好まれ、リモートでの管理によって自社内でITシステムを運用する企業が減少しています。その中で、クラウドサービスに対する需要の増加に対応した、インターネット企業・5G・AIに対応するためにハイパースケール施設が誕生したのです。
ハイパースケールデータセンターの最大の特徴として、企業の需要に対応するスケールアップ能力があります。スケールアップとは、サーバーのCPUやメモリーなどを含めたハードウェアを増設することにより、処理能力を高めることです。ハイパースケールデータセンターは、迅速な構築の必要性に基づいており、サーバー・ストレージ・電源・冷却システムなどを、効率性の向上・導入の簡素化・コスト削減の目的として標準化しています。
ハイパースケールデータセンターとコロケーションの違い
ハイパースケールデータセンターとコロケーションには、契約単位・契約者数・省エネの受益者といった観点で明確な違いがあります。
ハイパースケールデータセンターは、データセンターと比較して規模が大きいのが特徴です。契約単位と契約者数の違いについて、従来型のコロケーションでは契約単位はラック単位で契約者数は多数です。そのため、仕様決定はデータセンター事業者が主導的になります。
一方でハイパースケールデータセンターでは、契約単位がルーム・POD単位になり、契約者数は少数です。したがって特定のニーズをもとに仕様決定を行っており、ユーザーが主導になっています。
電気料金と省エネの受益者の違いについては、従来型のコロケーションの電気料金は固定で、省エネの受益者はデータセンター事業者でした。そのため、中でも省エネに関しては、ユーザーの理解が得られる範囲での省エネを行っています。対して、ハイパースケールデータセンターの電気料金は従量です。省エネの受益者はユーザーなので、ユーザーの運用方針に踏み込む省エネが必要になります。このように、コロケーションとハイパースケールデータセンターは似たサービスですが、明確な違いがあるといえるのです。
2023年はハイパースケール型のラック数増加?
インプレス総合研究所が発行するレポート「データセンター調査報告書2022:外資の不動産・物流事業者参入で拡大するハイパースケール型DC」によると、2022年末においては、まだリテール型がハイパースケール型を上回っています。
しかし、リテール型とハイパースケール型のラック数が拮抗しているため、2023年にはハイパースケール型がリテール型を追い抜くことが確実視されています。その後、ハイパースケール型の累積ラック数が増加し続けるとともに、昨年度より伸びやスピードが拡大し、早まるとの予測も立てられているのです。
ハイパースケール型の2022年累積ラック数は約30万ラックでしたが、2030年には60万を越え、約2倍も増加すると予想されています。これらを年間平均成長率に換算すると、年間で9.6%増加することになるのです。ハイパースケール型には新規参入や計画の前倒しが見られます。そのため、データセンターの大規模化やデータセンターキャンパスとして複数棟の新設計画が明らかになっているのも事実です。リテール型はハイパースケール型と比較すると、明らかに小規模で数も少ないことから、リテール型のラック数の伸びは限定的であるといえます。
よって、提供サイズの小さなリテール型のデータセンターをハイパースケールデータセンターが超えると予測でき、ハイパースケールデータセンターの需要が高まっているといえるでしょう。
出典:「データセンター調査報告書2022:外資の不動産・物流事業者参入で拡大するハイパースケール型DC」:https://www.dri.co.jp/auto/report/iil/iildatacenter.html
まとめ
ハイパースケールデータセンターとは、膨大なデータ処理やストレージを必要とする企業が建設する大規模なデータセンターのことです。主な特徴として企業の需要に対応できるスケールアップ能力があり、従来のデータセンターと比べると規模が大きいという特徴があります。ハイパースケールデータセンターとコロケーションの違いは、契約単位・契約者・電気料金・省エネの受益者に分けられます。主な違いは以下の通りです。
従来型のコロケーション
・契約単位:ラック単位
・契約者数:多数
・電気料金:固定
・省エネの受益者:データセンター事業者
ハイパースケールデータセンター
・契約単位:ルームやPOD単位
・契約者数:少数
・電気料金:従量
・省エネの受益者:ユーザー
このように、従来型のコロケーションとハイパースケールデータセンターには、明確な違いがあることが分かります。また、2022年ではハイパースケール型を上回っていたリテール型の累計ラック数を、ハイパースケール型が2023年には超えると予想されています。リテール型は小規模で数も少ないこともあり、ラック数の伸びが限定的です。そのため、リテール型のデータセンターをハイパースケール型が上回ると予想されています。