ナイロン612製の結束バンドとは?特徴やメリットについて解説
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります
結束バンドの中に「ナイロン612」を使ったものがあります。
ここでは、ナイロン612は他のナイロン素材と何が違うのか、その特徴を生かした用途は何なのかを解説します。
目次
ナイロン612はどんな素材?
ナイロンは石油を原料とする合成樹脂でできている素材ですが、使われている合成樹脂によって特性が変わります。
その中で「ナイロン612」は、どんな特性を持っているのか、ご紹介します。
ナイロンの数字の意味
「ナイロン」の後ろにつく数字は、原料として使われている合成樹脂内の炭素原子の数を示しています。
つまり「ナイロン6」は炭素原子が6個、「ナイロン11」は炭素原子が11個の合成樹脂を原料とした素材ということです。
そうなると「ナイロン612」は612個の炭素原子を持った合成樹脂を原料としているとなりそうですが、実はそういう訳ではなく、炭素原子が6個の合成樹脂と、炭素原子が12個の合成樹脂とが結合された材料を使っています。
また結束バンドに使用されている主なナイロンには、ナイロン612のほかに、ナイロン12やナイロン66などです。
耐性に関する特徴
ナイロン612の特徴の一つは、塩類、炭化水素、塩素化炭化水素、塩基、腐食性物質(塩化亜鉛、希釈酸)に対する耐性があることです。
アルカリには、ほとんど侵されません。
温度に対しては、-60℃から90℃までの低温・高温に対する耐性があります。
加工しやすさに関する特徴
一般的にナイロンは水に浸されると水を吸い、変形することがありますが、ナイロン612は吸水性が低いため、水による変形を抑えられます。
また、成形時の収縮率が低いことも特徴の一つですので、成形しやすく、寸法の精度も高い製造が可能です。
ナイロン612はどんな用途で使われている?
これまでに解説してきたような特徴を持つナイロン612は、どのような用途で使われているのでしょうか。
主な用途をご紹介します。
ナイロン612の主な用途は
ナイロン612は薬品などへの耐性があるため、航空、電気、造船、自動車、繊維、化学機械などの産業分野で幅広く使われています。
吸水性が低い特徴を生かして、水がかかりやすい場所で使われているものもあり、身近なところでは、高級歯ブラシの毛もその一つです。
また、耐紫外線性能が高く、広い温度範囲に対応するため、屋外で使用されることもあります。
ナイロン612を結束バンドで使うメリット
先述の用途を踏まえ、結束バンドとして使うときにナイロン612はどのようなメリットがあるのか、解説いたします。
結束バンドにナイロン612を使うメリットとは
ナイロン612は、紫外線や、低温、高温に対する耐性が高いことが特徴です。
これらの特徴は、日光が当たる、温度変化の大きな屋外で使用する際のメリットになります。
一般的なナイロンでは紫外線や温度変化による劣化が早く進み、結束バンドとしての機能を果たせなくなります。
おすすめの結束バンドはこれだ
ナイロン612を使った結束バンドの中でも、紫外線や温度への耐性に優れた結束バンドが、パンドウイットコーポレーション日本支社から販売されている「耐候性ナイロン612製結束バンド」です。
ナイロン612の、紫外線や温度への耐性が優れている特徴を生かしているだけでなく、小さな力で取り付けられるデザインになっており、先端の形状もヘッドに取り付けやすいようにカーブして細くなっています。
ナイロン612製の結束バンドの作業性
ナイロン612の素材としての特徴を紹介してきましたが、ここではナイロン612を使った結束バンドの作業性を確認しておきましょう。
ほかのナイロン製結束バンドと同じように作業が可能
ナイロン612もナイロンの一種ですので、ほかのナイロン製の結束バンドと同様に使用することができます。
屋外で結束バンドを使用する際、腐食などのリスクを避けるために金属製の結束バンドを使用することもありますが、金属製の結束バンドをナイロン製の結束バンドと同じように使用するのは難しいでしょう。
また、一般的なナイロン製の結束バンドで使用する結束工具も使用することができるため、ナイロン612用の結束工具を用意する必要はありません。
まとめ
ナイロン612を使った結束バンドは、紫外線や温度、薬品などへの耐性が高いため、屋外で使用するのがおすすめです。
高い耐性を持っていても、取付作業においては一般的なナイロン製の結束バンドと変わることはなく、取付用の工具も一般的なナイロン製の結束バンドで使用するものがそのまま使用できます。
耐候性の高さを活かして、ナイロン612製の結束バンドを活用しましょう。