庁舎のネットワーク基盤構築とは?流れや得られるメリットについて解説
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります
近年のデジタル化により、各自治体でもデジタルシフトしています。
デジタル化が進むにつれて重要なことは、ネットワーク基盤の構築です。
しかし、ネットワーク基盤の構築とは具体的に何をすべきなのか分からないという方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、庁舎のネットワーク基盤構築に向けての対策やメリットなどを解説します。
ネットワーク基盤構築を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
庁舎のネットワーク基盤構築とは?
ここでは、庁舎のネットワーク基盤構築とは何か、必要な要素や手順について解説します。
庁舎のネットワーク基盤構築とは
庁舎のネットワーク基盤構築とは、官公庁のシステムの基本的な構成要素を整備する過程のことです。
庁舎のネットワーク基盤を構築すると、システム全体の安定性や信頼性を向上させ、利用者にとって使いやすい環境を提供することができるようになります。
庁舎のネットワーク基盤構築が不十分だと、システムに障害が起こったり、データを損失したりと、セキュリティ面でのリスクが発生するため、ネットワーク基盤を構築することは非常に重要です。
庁舎のネットワーク基盤構築には、以下のような要素が必要です。
- ・サーバー
- ・ネットワーク機器
- ・ストレージ
- ・データベース
- ・セキュリティ
- ・監視や運用ツール
これらを用いることで、適切に設計や構築ができます。
庁舎のネットワーク基盤構築の流れ
庁舎のネットワーク基盤構築の流れは、以下のとおりです。
- 1.要件定義
- 2.設計
- 3.構築
- 4.テスト
- 5.運用
それぞれの手順について解説します。
要件定義
庁舎のネットワーク基盤構築を行う際は、まず導入するハードウェアの数やシステムの管理体制、セキュリティポリシーなどの必要な機能や要望をまとめていきます。
要望をまとめる際には、リスト化するなどして細かい部分までまとめていくと、問題点が分かりやすくなるでしょう。
要望をまとめたあとは、関係者全員で要望を検証していく作業に移りますが、この作業には一定以上の専門知識が必要です。
設計
選択した要件定義を基に、庁舎のネットワーク基盤を設計する段階です。
設計書を作成し、庁舎のネットワーク基盤構造の決定、情報漏洩や不正アクセスを防ぐためのセキュリティ対策等を行います。
基本設計が完了したら、詳細な機能設計へと移ります。
構築
設計書に基づいて、庁舎のネットワーク基盤を構築していく段階です。
ハードウェアやソフトウェアを調達してから行います。
テスト
計画や設計書どおりにシステムが作動するかどうかをテストする段階です。
テストは3種類あり、「単体テスト」「結合テスト」「システムテスト」の順に実施します。
「単体テスト」とは、それぞれの機器や設計を単独で検証するテストです。
要件定義で定めた要件を満たしているかの確認、正常に作動するかの確認を行い、もし問題があった場合には修正します。
「結合テスト」とは、複数の機器を連携させて一連の動作に問題がないか確認するテストです。
単体では正常に作動しても、複数の機器が組み合わさると正常に作動しないケースもあります。
「システムテスト」とは、本番を想定したテストです。
システム性能のテストや負荷試験を行い、処理速度や耐久性を確認します。
運用
3種類すべてのテストで問題がなければ、運用を開始します。
サーバーやネットワークの監視を欠かさず行い、常時庁舎のネットワーク基盤が安定して作動するか確認することが必要です。
ネットワーク基盤構築担当者と運用担当者が異なる場合には、運用担当者も構築時点からプロジェクトに参加すると、スムーズに運用を開始できるでしょう。
庁舎のネットワーク基盤構築の課題
庁舎のネットワーク基盤構築に伴う課題は、以下のとおりです。
- ・ネットワークの複雑化
- ・困難な情報のデータ移行
- ・働き方改革の障害
- ・共有端末の不便さ
それぞれの課題について解説します。
ネットワークの複雑化
庁舎のネットワーク基盤構築による懸念点は、外部からの不正アクセスです。
不正アクセスなどによりサイバー攻撃は後を絶たず、令和4年(2022年)の不正アクセス検挙件数は522件にものぼります。
ネットワークを複雑化し、外部からの不正アクセスを防ぐことが必要です。
困難な情報のデータ移行
現在、ファイルサーバーを整備しておらず、グループウェア内のファイルサーバー機能を使用している庁舎が多く存在します。
グループウェア内のファイルサーバー機能を使用すると、データ移行が難しく、別のグループウェア内への切り替えも困難です。
庁舎のネットワーク基盤構築に伴い、ファイルサーバーを整備してデータ移行を可能にする必要があります。
働き方改革の障害
庁舎のネットワーク基盤を構築すると、現在紙で管理している多くの情報をオンライン化することができます。
働き方改革が呼びかけられている現代ですが、有線LANも用いている庁舎が多く、ペーパーレス化やリモート作業への切り替えが困難です。
ネットワーク基盤を構築した際には、働き方改革を進めるために、Wifiを導入しなければなりません。
共有端末の不便さ
庁舎のネットワーク基盤を構築するにあたって、デジタル執務環境を整えることが大切です。
デジタル執務環境が整備されていない場合には、庁舎のネットワーク基盤構築は難しいかもしれません。
オンライン化するための工夫として、複数の職員でパソコンを共有している場合には、職員一人につき一台支給するようにしましょう。
庁舎のネットワーク基盤構築で得られるメリット
庁舎のネットワーク基盤を構築すると、以下のメリットが得られます。
- ・事務の効率化
- ・住民サービスの向上
- ・セキュリティの強化
- ・自治体のテレワーク実現
それぞれのメリットを解説します。
事務の効率化
20世紀後半からIT化が進み、その後の複数の法令改正の度に整備されてきたため、現在の庁舎の事務は複雑で非効率的な状態です。
しかし、ネットワーク基盤を構築することによって、多数の情報をオンラインで管理できるようになってペーパーレス化が進みます。
情報共有や交換を効率的にできるようになるうえに、職員一人ひとりの負担も減らすことができるでしょう。
住民サービスの向上
庁舎のネットワーク基盤を構築すると、オンライン上でサービスを提供できます。
そのため、住民が生活する上で必要となる行政情報の提供や申請、届出手続きがオンライン上でできるようになり、わざわざ庁舎に足を運んだり、待ったりする必要がなくなり、効率化できるでしょう。
セキュリティの強化
庁舎のネットワーク基盤を構築すると、水準の高いセキュリティ体制が確保されます。
庁舎には多くの住民の個人情報など重要情報がありますが、セキュリティ体制の水準が高まることで、情報の機密性も高まるでしょう。
盗聴などによる個人情報の漏洩が起こる可能性が減り、信頼性が向上することが期待できます。
自治体のテレワーク実現
庁舎のネットワーク基盤を構築すると、庁舎にいなくとも作業できるようになります。
そのため、庁舎の職員もテレワークが可能です。
テレワークが可能になることで、通勤の負担がなくなり、育児や介護と仕事の両立もしやすくなるなどのワークライフバランスにおけるメリットもあります。
まとめ
庁舎のネットワーク基盤を構築することは、庁舎のシステム全体の安定につながり、利用者が使いやすい環境を提供できます。
また、庁舎の職員にとっても、テレワークが可能になり、事務が効率化します。
ただし、庁舎のネットワーク基盤を構築するには、「ネットワークの複雑化」「困難な情報のデータ移行」「働き方改革の障害」「共有端末の不便さ」の4つの課題が伴うため、注意して行うことが必要です。