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データセンターの持続可能性向上に向けた水処理技術の役割

※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります

水冷システムは、データセンターの機器が発する熱を除去するためのシステムであり、冷却効率が高く効果的な方法です。しかし、大量の水の消費や排水による環境汚染という課題を抱えています。

こうした課題に対処するには、水の再利用や、排出される水の汚染を除去する水処理技術が欠かせません。

この記事では、水処理技術の重要性やデータセンターの水利用の課題、具体的な技術の事例などを解説していきます。

 

水処理技術の重要性

データセンターでは近年、水処理技術の重要性が高まっています。

データセンターには、サーバーや通信機器などが発する膨大な熱を取り除くための冷却システムが欠かせません。冷却が適切に行われなければ、機器が過熱して故障や誤作動を引き起こす原因となります。

データセンターの冷却システムは、大きく空冷式と水冷式に分けられます。空冷式は、空気を利用して機器を冷却する方法で、比較的安価で構造もシンプルなため広く採用されてきました。一方で水冷式は、冷却水を利用して機器を冷やす方法で、冷却効率が高く騒音も少ないため、近年採用が増えています。

水冷式システムは、冷却水を循環させて機器の熱を奪い、熱交換器で冷却水を冷やして再び循環させる仕組みです。循環する冷却水の水質は、時間の経過とともに汚れや細菌の繁殖などによって劣化し、冷却効率の低下や冷却システムの腐食などを引き起こします。

冷却水の水質を一定に保つ水処理技術は、水冷式システムの冷却効果を維持し、機器の故障や性能低下を防ぐために欠かせない技術なのです。

 

データセンターにおける水の利用と課題

データセンターでの水の重要性は年々高まっていますが、その一方で課題も抱えています。

もっとも大きな課題は、データセンターが水を大量に使用することです。Googleによると、2022年に同社のデータセンター20カ所で使用した1日の水の量は、米国民約17万5,000人分の使用量に相当したといいます。また近年は、多くの計算リソースを消費するAIの進化に伴い、データセンターの水消費が急激に増加しました。Microsoftによれば、2022年の同社クラウドセンターの水使用量は、前年の30%以上増加したということです。

このような水の大量消費は、立地する地域の水資源に大きな負荷をかけます。特に水資源が限られている地域では、データセンターの運用が地域の水供給に深刻な影響を及ぼす可能性を無視できません。

もう一つの課題は、冷却システムから出る排水の環境への影響です。冷却システムから排出される水は、温度が上昇しており、化学物質などを含むことがあります。データセンターからの排水をそのまま河川や海に放出すると、水温の上昇や水質汚染によって、生態系や人体に深刻な悪影響を及ぼすでしょう。

このように、データセンターを運営する上で水の適切な使用は、避けては通れない課題です。

 

持続可能な水処理技術の導入

データセンターの水消費と排水の課題に対処するためには、効果的な水処理技術の導入が欠かせません。

水処理技術では、使用済みの冷却水を浄化して水冷技術によって冷却・再利用することで、新たな水資源の使用を最小限に抑えることが可能です。また、膜処理や生物処理などの処理技術を活用して排水中の汚染物質を除去し、河川や海洋汚染を軽減します。

データセンターを持続可能な形で運用するためには、水処理技術は不可欠です。水処理技術の導入には、初期費用がかかりますが、環境対策への取り組みによる企業イメージの向上にもつながるでしょう。

 

水処理技術のデータセンターへの具体的な貢献

最後に、データセンターの水消費や排水の課題軽減に貢献するために、具体的な水処理技術と水冷システムを紹介します。

再生水利用とは、下水処理水を高度処理して冷却水として再利用する仕組みです。新規の水資源の消費を大幅に減らし、排水も削減できます。

フリークーリングシステムは、外気温が低い場合に、冷却水を循環させずに外気を取り入れることで機器を冷却するシステムです。冬季や寒冷地でのデータセンターに有効な技術で、水の使用量を削減できます。

液浸冷却システムは、サーバーや機器を非伝導性の液体に直接浸して冷却するシステムです。冷却液が循環するため水の消費が少なく、排水による環境汚染の影響も少ないとされています。

このように各種の水処理技術は、データセンターの水消費を抑え、排水による環境汚染の低減に貢献しています。

 

まとめ

データセンターの運用には、大量の水が必要です。しかし水の大量消費は、地域の水資源に大きな負担をかけ、排水が環境にも悪影響を及ぼすという大きな課題があります。

データセンターの水利用の課題に対処するには、効果的な水処理技術の導入が欠かせません。AIの発展などに伴うデータセンターの需要増加により、水処理技術の重要性は今後ますます高まっていくでしょう。

データセンター事業者は、再生水の利用や水の消費を抑える冷却システムなど、さまざまな技術を活用した持続可能な運営が求められています。

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