庁舎がするべき防災対策とは?構造面・設備面・機能面の対策を紹介!
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります
庁舎は災害が発生した際に、情報収集や市民の安全確保、災害後のケアなどを行う必要があります。
しかし多くの庁舎が、防災対策に関してさまざまな問題を抱えているでしょう。
そこで本記事では、構造面・設備面・機能面における庁舎が行うべき防災対策について解説します。
災害発生時の庁舎の役割
災害が起きた際、庁舎には以下の役割があります。
- ・災害対策方針の協議や決定
- ・現場の活動拠点となる区役所などとの連絡調整
- ・適切な配備態勢の構築
- ・国や都道府県をはじめ市内外の関係団体との連携
一方、このような役割を果たす上でさまざまな問題点もあります。
災害発生時の庁舎の問題点と目標
ここでは、災害発生時における庁舎の問題点と目標について解説していきます。
災害発生時の庁舎の問題点
災害発生時の庁舎の問題点は、以下の通りです。
- ・耐震性能不足
- ・設備の老朽化
- ・災害対策が不十分
それぞれ解説していきます。
耐震性能不足
現在建っている市庁舎の中には、新耐震基準前に建てられたものも存在します。
実際に耐震調査の結果、地震が起きた際に倒壊や崩壊の危険性が高い市庁舎があることが判明しており、大きな地震が起きた場合来庁者の安全が確保できない可能性が非常に高いです。
また、被害情報の収集や迅速で的確な避難情報の発信ができない恐れもあります。
設備の老朽化
現在建っている市庁舎には古い建物もあり、中には築50年以上経過するものもあります。
設備全体の老朽化によって能力低下が著しく、一部が故障している状態の建物もあればメンテナンス部品の調達が難しい状態の建物も多いです。
このままでは、大規模な災害時に必要な非常用電源や水道水の確保は難しいでしょう。
また、緊急対応可能な庁舎の防災設備も不十分であり、災害対策本部と現地対策本部間の連絡ツールが電話やFAXだけの場合は、情報伝達手段として不十分といえます。
災害対策が不十分
規模や機能面において、災害の担当部署や機器が別々の庁舎に分散されていたり、目的別での窓口が設置されていなかったりと、災害対策が不十分なことがあります。
災害担当部署などが存在していても、対策が不十分であれば災害が起きた際に役立つことがないかもしれません。
問題を解決するための目標
ここまでの問題を解決するための目標は、以下の通りです。
- ・災害対策本部の機能を強化
- ・市民の安全と安心の確保
それぞれ解説していきます。
災害対策本部の機能を強化
大規模な災害が起きた際、救助や復旧に向けた指揮や、情報収集に中核施設として機能できるよう、災害対策本部の機能を強化することが大切です。
具体的には、災害対策本部などの設置、施設の耐震性確保、情報・通信・設備の整備を行う必要があります。
市民の安全と安心の確保
市民の安全で安心な暮らしを確保することも重要です。
そのためには、一時避難スペースなどを確保し、災害への対応および避難経路を確保する必要があります。
また、災害が起こったときだけでなく、災害後に市民の精神面などのケアを行う災害後ケア対策窓口の設置も必要です。
庁舎がやるべき防災対策
庁舎がやるべき防災対策は、構造面、設備面、機能面の3つで分けられます。
それぞれの防災対策について解説していきます。
構造面における対策
構造面における対策として、免震装置の設置や、災害時に避難や救助などを行うルートの確保があります。
具体的には、すべての建物の下に免震装置を設置し、庁舎として必要な耐震性能とされるIs値0.9相当を確保します。
また、本庁舎と別館を地下通路でつなぐことで、災害発生といった非常時に避難経路や救助経路として利用可能です。
設備面における対策
設備面における対策として、電気室の地上階への設置や、変電所からの2回線の引き込み、太陽光パネルやコージェネレーションシステムの利用、非常用自家発電設備などの設置が挙げられます。
地下に電気室があると、浸水した際に電気が途絶えて連絡ツールが使えなくなる可能性があります。そのため、電気室を地上階へ設置し、大雨や地下水の湧出によって浸水するリスクを回避することが大切です。
また、変電所から2回線の引き込みを行うことで、災害時の断線による停電リスクを軽減できるでしょう。
太陽光パネルなどの設置では、非常時の電力供給を多重化して災害時の業務継続に必要な電力を確保します。
機能面における対策
機能面における対策として、災害対策本部を設置することが挙げられます。
あらゆる災害を想定し、情報収集や、対策の立案や決定、支持を迅速かつ的確にできるようにしましょう。
そのためには、大きなマルチディスプレイを導入し、監視情報などの表示やテレビ会議、ドローンで撮影したライブ映像の確認を行い、迅速に従業員間で情報共有ができるようにします。
また、非常時に災害対策本部室として利用できるスペースの確保も大切です。
まとめ
庁舎は災害が起きた際、情報の共有や災害対策方針の協議や決定などを行う重要な役割を担っています。
しかし、近年では防災対策が正しくできていない庁舎もあり、多くの問題を抱えています。
災害時に迅速かつ的確に指示を出し、市民の安全や安心を守れるよう、問題を把握して構造面・設備面・機能面において対策を取ることが大切です。