光ファイバーの損失測定とは?その方法と原理をわかりやすく解説
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります
現在ネットワークによるデータ通信の軸となっている光ファイバー。光ファイバーは、データを光に変換することで、高容量で高速な通信を可能としています。しかし、光ファイバーケーブルの接続によっては、伝達する光に損失が生じてしまうこともあります。光に損失が生じてしまっては、効率的にデータ通信を行えているとはいえません。そこで今回は、光ファイバーがどれだけ損失なく光を伝達できているかを判断する「損失測定」について説明していきます。
光ファイバーの損失測定とは?
光ファイバーによって光を伝達する際に、複数の光ファイバーケーブルを接続して使用することがあります。光ファイバーケーブル同士を接続する際に、実際に光が通る部分であるコアがうまく接続されなかったことで、片方の光ファイバーのコアから出射された光が、もう片方の光ファイバーのコアへ入射できずに、光がコア以外の部分へ放射されてしまうことがあります。その際にどれだけの光が放射され、入射できなかったのかを測定するのが損失測定です。
光ファイバーによる光の伝達を行う際には、光の損失が少ないほど安定して光を伝達できていると考えられます。そのため、常に現在の光ファイバーの接続によってどれだけの光が損失しているか損失測定を行います。光の損失を把握し、光の損失が少なくなるような接続方法にするなどの工夫をしていく必要があるのです。
光ファイバーの損失測定の方法
光ファイバーによって効率的に光を伝達するには、損失測定を行っていくことが必要不可欠です。それでは、実際にはどの様な方法で損失測定を行っているのでしょうか。ここでは光ファイバーケーブルの接続の方法別に、光の損失測定の方法についてご説明いたします。
光源・光パワーメーターによる測定
光源と光パワーメーターを用いる損失測定では、光ファイバーケーブルの両端に光源と光パワーメーターを接続して測定を行います。
光ファイバーケーブルの片方から光源を発した光が、もう片方に接続した光パワーメーターにどれほど届くかによって、光ファイバーケーブル全体の損失を測定します。
光ファイバーケーブルの中を光が伝達している途中で、光が損失すると、光パワーメーターに届く光が少なくなっていきます。そのため、光パワーメーターに届いた光が大きければ大きいほど、光の損失が少ないといえます。
OTDRによる測定
損失測定において最もポピュラーな方法がOTDRです。光ファイバーケーブルの片端に測定機器を接続して光パルスを送信し、光ファイバーケーブル内で起こる後方散乱光を受信した波形によって、光接続損失を測定します。
OTDRによる測定では、光の損失の程度だけではなく、光ファイバーケーブルの長さ、光ファイバーケーブルの接続点の数や位置、光を伝達している途中での接続損失、反射までを確認することが可能です。
確認できる情報が非常に多いため、OTDRによる測定は、光ファイバーケーブルの敷設時と、光回線に故障が発生したときによく使用されます。敷設時には目では確認できない部分の確認や、施設作業完了した後の試験成績書の作成をするのに非常に便利です。
光回線に故障が発生したときには、自宅内に引かれている光ファイバーケーブルから測定します。長い光ファイバーケーブルのどの部分で異常があり、どの部分で故障しているのかを確認できます。
簡単に不具合を起こしている部分を確認できるため、早期復旧が可能です。OTDRは様々な場面で役に立つ損失測定方法です。
OTDRによる光ファイバーの損失測定の原理
OTDRによる損失測定は、OTDRから送り出されるパルス信号と光ファイバーケーブルの散乱現象をもとに行います。パルス信号を発すると、パルスは散乱したり吸収されることで、強度を損ないながら、光ファイバーケーブルの中を進みます。その途中、光ファイバーケーブル同士の接続ずれによる散乱や、出口での鏡面効果でパルス信号は戻ってきます。
この戻ってきたパルス信号の量から、光の損失具合を判断します。また、戻ってくるのにかかった時間から、距離も判断できあます。
さらに、戻ってきたパルス信号を測定し、データとして平均化し、ブラウン管に表
示させます。信号が波形になっており、そこから下記を判断します。
・光の損失の程度
・光ファイバーケーブルの長さ
・光ファイバーケーブルの接続点の数や位置
・光を伝達している途中での接続損失、反射
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光ファイバーの損失測定をして精度の高い接続を目指しましょう。光ファイバーケーブルの本来の性能を発揮し、大容量で高速のデータ通信を行うためには、光接続損失を最小限に抑える必要があります。
そのため、使用している光ファイバーケーブルの損失測定はしっかりと行いましょう。
定期的に損失測定を行い、光ファイバーケーブルを高い精度で接続しましょう。より効率的で安定した通信を目指せます。