LANケーブルを掃除することの必要性と注意点を解説
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります
ネットワークの品質を維持するには、LANケーブルのクリーニングが必要不可欠です。お手入れを怠ると、ネットワークに不具合やトラブルが発生する原因になりますので、定期的にお手入れすることが大切です。ただ、誤った方法で清掃すると、別のトラブルを引き起こすおそれがありますので、正しい手順とやり方をマスターしましょう。
ここでは、LANケーブルのお手入れの必要性と注意点、正しい掃除のやり方についてご説明します。
LANケーブルの定期的な掃除の必要性
一度ネットワークを設置すると、端末ばかり使用してLANケーブルには注意を払わなくなる方も多いでしょう。
しかし、LANケーブルは意外とデリケートな製品で、端面にほこりやゴミ、汚れなどが付着していると、光がスムーズに通過できなくなります。取るに足らない微細なチリであっても、粒子がコアの一部または全部を覆ってしまうと強い背面反射がおこり、レーザーシステムに不具合が生じるおそれがあります。
具体的には、1μmの粒子がシングルモードのコアに付着していると、光が最大1%阻害されるといわれています。人の髪の直径は50~80μm(0.05~0.08mm)なので、10μm以下の微少な汚れは肉眼で確認することすらできませんが、そのぶん見過ごされやすく、かつ除去が困難です。
ネットワークに不具合や遅延が生じ、調べてみたらLANケーブルの汚れやほこりが原因だったというケースも少なくありませんので、定期的に清掃し、障害を取り除いておくことが大切です。LANケーブルの端面が汚れる原因はいくつかありますが、代表的な例には以下のようなものがあります。
- 油分(人の手に付着した皮脂など)
- 空気中のほこり、チリ
- 衣服などから出た糸くず
- 溶剤などが蒸発した後に出るパウダー
とくに静電気が発生している場合、LANケーブルの端面にほこりやチリが付着しやすいので、こまめに清掃する必要があります。
汚れを放っておくと、LANケーブルに傷がつく原因になる
LANケーブルの端面は非常にデリケートで、少し傷がついただけでも光信号の伝送に悪影響を及ぼします。LANケーブルの端面への接触はもちろんですが、微細なチリや汚れが付着したまま接続すると、チリによって傷がついたり、汚れが固着したりする原因です。
頑固な汚れや傷は研磨すれば除去できますが、専用の機器とテクニックが必要ですので、傷がつく前にお手入れすることが大切です。
LANケーブルを掃除する際の注意点
LANケーブルの掃除を行う際、とくに注意したいポイントを2つご紹介します。
掃除前に接続を解除する
端末の電源を切っていても、接続しているLANケーブルには微量な電気が流れています。LANケーブルの清掃には洗剤を使用しますので、通電したまま掃除するとトラブルの原因になることもあります。
LANケーブルを掃除する際は、事前に接続を解除し、通電していない状態で作業に移りましょう。配線が複雑な場合は、どのケーブルがどこに接続されていたかわからなくなるおそれがありますので、タグなど目印をつけておくと安心です。
力の入れすぎに注意
LANケーブルの汚れがなかなか取れないからといって、力任せにこすったり、強く引っ張るように汚れを取り除いたりするのはNGです。力を入れすぎると、ケーブルに傷がついたり、断線したりしてネットワークトラブルを引き起こす要因となります。
洗剤で落ちないようなしつこい汚れは、消しゴムでこするか、専用の研磨機を使用して除去しましょう。
LANケーブルの正しい掃除方法
LANケーブルを掃除する時の基本的な手順をご説明します。
1. ケーブルをから拭きする
ほこりが付着した状態で洗剤を使用すると、水分を含んだほこりが固まってこびりついてしまうおそれがあります。まずは乾いた布で拭き、端面やケーブルに付着したほこりやチリを取り除きましょう。専用のクリーニングクロスを使用すれば、端面を傷付けずにほこりやゴミを除去できます。
2. 洗剤で汚れを拭き取る
布やクロスに水で薄めた中性洗剤を含ませ、汚れを拭き取ります。軽く拭いただけでは落ちない汚れもありますので、きれいになるまで掃除を繰り返しましょう。
3. 水分を拭き取る
もう一度乾いた布を使用して、端面やケーブルを拭きます。水分が残らないように、しっかり拭き取ってください。
4. 陰干し
風通しの良い場所にLANケーブルを置き、水分を完全に取り除きます。水分が残っていると、LANケーブルを接続した時に通電トラブルが発生する可能性がありますので、時間をかけて念入りに水分を飛ばしましょう。
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光ファイバーは少々のほこりやゴミがあるだけでも伝送損失が発生しやすく、ネットワークの遅延や障害につながります。とくに静電気が起こりやすい場所や、ほこりが溜まりやすい場所(フロア下やデスクの背面など)は、短期間でも汚れが付着しやすいので、1~2ヶ月に1回程度のペースでLANケーブルを掃除するのが理想です。
一見きれいに見えても、肉眼では確認できない微細な汚れがついていることもありますので、ファイバースコープなど専用の機器がない場合は、目視で判断せず、決まったペースで掃除することをおすすめします。
お手入れ方法も含め、LANケーブルに関してお悩みや疑問がある場合は、ぜひパンドウィットコーポレーションまでお問い合わせください。