データセンター設計と計画のポイントとは？成功を導くために注意すべきこと
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報＝豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります
データセンター事業を成功させるためには、適切な設計が不可欠です。データセンターの設計では、可用性やセキュリティ、スケーラビリティなどの基本的な事項から、予算や技術的なポイント、リスク管理などを考慮する必要があります。
この記事では、データセンター設計の基本的な原則から、設計時に注意すべきポイントまでを分かりやすく解説していきます。
基本的な設計原則
ITが広く普及した現代において、データセンターは社会インフラとして重要な存在です。データセンターは、膨大なデータの安全かつ効率的な処理と保管が求められ、単にIT機器を配置するだけでなく、さまざまな要素を考慮した設計が欠かせません。
データセンターを設計する際に留意すべき基本的な原則には、以下のようなものがあります。
可用性
可用性とは、システムが継続的に利用できる能力のことです。データセンターの設計では、提供するサービスレベルに応じて、障害やメンテナンスによるダウンタイムを最小限に抑えることが求められます。
セキュリティ
セキュリティとは、システムやデータを脅威から守ることです。データセンターでは、施設への物理的な不正アクセスとネットワークを介したサイバー攻撃の両面から守る必要があります。そのため、多層的なセキュリティ対策が求められます。
スケーラビリティ
スケーラビリティとは、処理能力やデータ容量などのリソースを柔軟に拡張できる能力のことです。ビジネスニーズの変化や技術の進化に対応できるよう、柔軟かつ効率的に拡張可能な設計が求められます。
電力効率
電立効率とは、エネルギーを効率的に使用し、消費電力の無駄を抑えることです。膨大な電力を消費するデータセンターでは、電力効率の向上が環境負荷やランニングコストの削減につながります。
温度管理
温度管理とは、データセンター内の温度を制御し、機器の過熱を防ぐことです。適切な温度管理により、ハードウェアの故障や性能低下を防ぎ、安定稼働を実現します。
データセンターでは、これらの基本的な原則に加えて、ビジネス要件・コスト・コンプライアンス要件など、さまざまな要素を踏まえた総合的な設計が求められます。
計画と予算の適切な立て方
データセンターの立ち上げにおいて、計画と予算はプロジェクトの成功を大きく左右します。最終的な目標達成のためには、綿密な計画と現実的な予算設定が欠かせません。
まずは、ビジネスの目標と要件を明確に定義しましょう。これにより、必要な設備や技術、リソースを正確に見積もることができ、無駄のない投資が可能になります。例えば、データセンターの規模・種類・ストレージ容量・災害対策要件など、ビジネス上の要件を具体的に洗い出すことが重要です。
次に、要件を実現するために必要な技術や設備を選定し、費用対効果を検証します。データセンターには、多額の初期投資だけでなく、ランニングコストを抑えることも重要です。例えば、水処理技術の導入により、冷却システムを効率化でき電力費用を削減できます。
中長期的な視点に立ち、TCO（総所有コスト）を意識した予算立てが不可欠です。
技術的なポイントと注意点
データセンター設計では、技術的なポイントや注意点を押さえることが求められます。
例えば、ネットワークインフラの設計では、大量データの高速かつ安定的な処理と伝送が不可欠です。冗長構成でのネットワーク設計も必須ですが、過剰な冗長化は投資コストを押し上げるため、適切なバランスを見極める必要があります。
また、冷却システムの設計も、省電力化とサーバー安定稼働には欠かせません。熱効率の良い機器レイアウトに配慮しつつ、将来の拡張性にも配慮した設計をしましょう。
重要な情報資産が集まるデータセンターでは、厳格なセキュリティ対策も不可欠です。しかし、過度なセキュリティ対策は、運用の効率性を損なう恐れがあります。そのため、適切なアセスメントを行い、費用対効果を考慮したセキュリティ設計が求められます。
このように、各技術領域でさまざまな注意点があります。これらの注意点を踏まえ、総合的な視点から設計することが重要です。
リスク管理と運用計画
データセンターの設計時には、リスク管理と運用計画にも注意を払う必要があります。設計段階からリスク管理と運用計画を織り込むことで、コスト削減や効率的な運用が可能です。
リスク管理では、自然災害や機器障害、サイバー攻撃などに備えた対策を設計時点で組み込むことで、事後の対応コストを大幅に抑えられます。耐震・防火設計、無停電電源設備、ネットワークセキュリティ対策などにより、設計段階からリスク低減を図ることが大切です。
運用計画では、データセンターの効率的な運用を実現するための要件を設計に盛り込む必要があります。保守の効率化・拡張性の確保・運用人員の適正配置など、運用面からの課題や要件を設計段階から検討しておきましょう。
このようにリスク管理と運用計画を設計に組み込むことで、将来的な追加コストや事業リスクを最小限に抑えることができます。
まとめ
データセンターを立ち上げる際には、さまざまな要素を考慮した設計が必要です。
データセンターの設計には、可用性や拡張性、セキュリティなどの基本的な設計原則の理解が欠かせません。それに加えて、計画と予算の考慮や技術的な注意点、リスク管理・運用計画を組み込むことも重要です。
設計のポイントと注意点をしっかりと押さえ、データセンター立ち上げを成功に導きましょう。
