サーバールームの配線は床下と架上のどちらを選ぶべき?配線方法について紹介
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります
サーバールームの設計において、配線方法の選択は運用効率に大きく影響を与えるため、設備やスペース、空調の効率化など多くの要素を考慮することが大切です。
本記事では、サーバールームの環境に合わせた最適な配線方法を紹介します。適切に配線を設置することで、システムの安定稼働と管理の簡素化につながるポイントを解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
サーバールームで見られる床下配線について
この章では、サーバールームにおける床下配線の特徴や、問題点について解説します。
電源配線とネットワーク配線
サーバールームにおける床下配線は、電源とネットワークの配線がそれぞれの機能を保ちながら安全に運用できるよう工夫する必要があります。電源配線は、停電を防ぐために複数の経路で供給し、冗長性を確保することが大切です。ネットワーク配線も同様に、通信障害を避けられる複数ルートが推奨されます。
また、電源配線とネットワーク配線を並走させると、誘導障害が発生するリスクがあり、適切な距離を保つためのスペースも確保しなければなりません。
密集するエリアへの対処
サーバールーム内で配線が密集するエリアでは、冷却効率に影響を与える可能性があり、適切な対策が必要です。電源配線はPDUから、ネットワーク配線はネットワークラックから各サーバラックに接続されるため、配線の出入口が限られ、密集エリアが生じやすくなります。
配線が過密になると、フリーアクセス床内の冷気の流れが妨げられ、十分な冷却が行われなくなる場合があり、配線の配置を分散して空調効率を保つことが大切です。
床下配線の問題点
サーバールームの床下配線にはいくつかの問題が見られます。まず、電源やネットワーク配線が特定のラックに集中しがちであり、床下スペースが圧迫されるケースが多いでしょう。
また、空調設備や配管が壁面に集中するため、その周囲にさらに配線を通す必要があり、結果的に過密状態となる場合もあります。このような状況は冷却気流を妨げ、効率的な空調が難しくなる恐れがあり、注意が必要です。
サーバールームの配線は床下と架上のどちらを選ぶべきか
配線が集中する場所によって効率や冷却に影響が出るため、適切に配線を配置する工夫が必要です。
ここでは、床下と架上のどちらに配置すべきか考えてみましょう。
床下に構築されている設備について
サーバールームの床下は、多くの設備が構築される場所です。
まず、床を支えるフリーアクセス床の支持脚があり、ラックや分電盤、空調機の架台も配置されています。また、冷媒やドレン用の空調配管、電源配線、制御配線が通り、ガス消火配管やその排ガスダクト、超高感度煙検知設備用の配管も配置されている設備です。
さらに、IT機器用の電源幹線・支線、ネットワーク配線、環境監視用の配線も床下を通っています。これら多数の設備の間を、冷却用の空気が流れる構造が必要です。
どちらの配線を選ぶべきか
サーバールームの配線を床下と架上のどちらに通すべきかについては、設計の方針や状況により異なります。
床下配線は、電源配線を短く保つことで電圧降下を防ぎ、効率的な電源供給が可能です。一方、ネットワーク配線は架上を通すことで管理や運用が簡素化し、冷却効率の向上にもつながります。また、配線を上下で分離することで、通信障害を防ぎながら空調の気流を確保するのも一つの方法です。
サーバールームの電源と通信の配線方法について
最後に、配線が混み合いやすいサーバールームにおいて、空調を意識して電源と通信を配線する方法を紹介します。
電源配線方法
サーバールームの電源配線を効率化するには、分電盤を壁面ではなく、ラックごとに設置する方法が有効です。壁面に分電盤を一括設置するのではなく、ラックごとに配置することで配線が整理され、空調や配線経路の管理も容易になります。電力はラック単位で設計し、必要なブレーカ回路数に応じた配線を行いましょう。
さらに、バスダクトを活用して幹線から直接ブレーカ回路を取り出すことで、配線の整理と管理がシンプルかつ効率的になります。
通信配線方法
サーバールームにおける通信配線を効率化するには、事前に計画された「先行配線」が大切です。先行配線は、ネットワーク構成を変更する際に、ラック内のパッチ接続のみで対応でき、都度配線を行わないため、配線の煩雑さを避けられます。
さらに、先行配線は障害発生時の迅速な復旧やセキュリティ強化にも役立ち、人員の出入りを最小限に抑えられるため、管理や運用の面でも効率的な配線方法です。
まとめ
配線の選択は、空調の流れや障害時の復旧作業に直接影響を与えるため、設計段階でしっかりと検討することが大切です。最適な配線方法を採用することで、サーバールーム全体の運用効率や冷却効果を最適化しましょう。