庁舎建て替えにおけるネットワーク環境の見直しポイントとは?
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります
近年、庁舎の建て替えに伴い、数多くの自治体が庁舎内のネットワーク環境について見直すなど、デジタル技術を活用する取り組みが活発になっています。
自治体によるネットワーク環境の見直しは、庁舎内で勤務する職員だけではなく、住民にとっても期待できる効果があるのです。
そこで今回は、庁舎建て替えに伴うネットワーク環境の見直しポイントをご紹介します。
目次
庁舎の建て替えに伴うネットワーク環境の見直しポイント
庁舎は、今後、数十年先も地域に存在する必要がある建物です。
自治体がネットワーク環境の再構築や拡大に伴って通常業務を止めることは難しく、住民生活にも支障を及ぼす可能性があります。
庁舎建て替えは、計画段階でネットワーク環境の見直しができる最大のチャンスといってもいいでしょう。
庁舎内ネットワークの強靭化
住民の個人情報を取り扱う自治体には、一般企業以上の強靭なネットワークセキュリティが求められます。
庁舎建て替えに伴い、セキュリティ面において見直すといいでしょう。
とくに、無線LANの利用が認可されたLGWAN接続系においては、仮想化した業務端末で仮想ブラウザーを構築して使用するなど、セキュリティレベルを上げながら自治体業務を効率化するネットワーク環境の整備が必要です。
無線LANの導入
庁舎建て替えに伴うネットワーク環境の見直しにおいて導入を検討したいのが、無線LANです。
アクセスポイントなどのネットワーク機器は比較的簡単に最新機器に変更できますが、有線LANによるネットワーク環境の場合、配線の変更に膨大な時間とコストがかかります。
庁舎は数十年先も同じ場所で地域に存在し続ける必要があるため、庁舎建て替えを機に、未来を見据えたネットワーク環境を構築しておくといいでしょう。
自治体クラウドの活用
自治体クラウドとは、外部のデータセンターで行政データ情報を保有し、複数の自治体が共同で管理や運営をする仕組みのことです。
複数の自治体が共同で管理、運用するため、自治体ごとのセキュリティ水準の統一化や、コスト削減などにもつながります。
データセンターは耐震構造・非常用電源・火災感知システムなどを備えていることが一般的で、庁舎が被災した場合でも業務が継続可能であることから、自治体クラウドの活用が求められています。
庁舎建て替えを機にネットワーク環境を見直して期待できる効果
庁舎建て替えを機に自治体がネットワーク環境を見直すことは、行政サービスにおけるデジタル技術の導入や拡大につながるでしょう。自治体がデジタル技術を活用し、行政サービスをより良いものにしようとする取り組みを、自治体DXといいます。
生産性の向上
自治体DXにより資料や情報のデータ化が進むと紙資料が不要になるため、生産性の向上が期待できます。
また、RPAを活用して申請書類の処理業務などを自動化することで、職員が行政サービスに注力できる環境を整えることが可能です。RPAの活用により職員の残業時間が削減されれば、さらに生産性の向上が期待できるでしょう。
ワークライフバランスの実現
自治体業務においてテレワークができるネットワーク環境を整備することは、職員のプライベートの充実やライフステージの変化など、多様な働き方に対応できます。育児や介護を理由に離職していた職員を減らす効果も期待できるなど、職員のワークライフバランスの実現につながるでしょう。
住民の利便性向上
申請や書類取得などの一部をオンライン化することで、住民の利便性向上が期待できます。また、データを活用することで、住民のニーズに応じたサービスを提供することも可能です。
総務省は、直接来庁することが難しい子育て世代や介護中の住民などにまつわる手続きをオンライン化することで、住民の利便性が向上すると期待しています。
庁舎建て替えとともにBCM体制を整える
庁舎建て替えの際に検討する計画のひとつとして、BCP(業務継続計画)が挙げられます。
災害対応を担当する自治体においては、非常時に備えた体制を整えておかなければなりません。
計画を立てるだけではなく、継続的な見直しや、取り組みを浸透させるための教育訓練といったBCM(業務継続マネジメント)が求められています。
庁舎建て替えに伴い、BCM体制を整えることも検討しましょう。
BCM(業務継続マネジメント)とは
BCMとは、災害などの非常時でも業務を継続するための取り組みをマネジメントすることです。
計画の策定や見直し、教育訓練などの包括的な活動のことを指します。計画を立てても、実行できなくては意味がありません。
非常時にも業務を継続するために、継続的なマネジメントが重要となります。
自治体が策定しておくべきBCP(業務継続計画)
自治体が策定しておくべきBCPには、首長不在時の代行者の選定や、食料・水・電気の確保以外に、ネットワーク環境の整備につながる項目があります。
それは、本庁舎が使用できなくなった際の代替案の策定・災害時にもつながりやすい通信手段の確保・行政データの保管方法などです。
BCMの一環として、場所を選ばずに業務ができる体制や、データのクラウド管理を普段から行っていくことで、非常時に備えることができます。
非常時に備えてネットワーク環境の見直しを
災害時の通信手段として、無線LANの導入も検討しましょう。
住民の避難先として機能するためには、食料や水などの備蓄と併せて、ネットワーク環境の整備も必要です。公衆無線LANを整備しておくことで、災害時における住民の通信手段が確保でき、自治体から住民などへ災害情報を配信する手段としても利用できます。
庁舎の建て替えと併せて整備することで、通常業務に影響を与えることなく導入できるでしょう。
まとめ
庁舎建て替えは、計画段階からネットワーク環境を見直せる絶好の機会といえます。職員の業務効率向上や、より良い行政サービスの提供には、デジタル技術を活用した取り組みが重要です。
庁舎建て替えの際には、デジタル技術の活用を視野に入れたネットワーク環境の見直しを検討しましょう。