自治体に必要なネットワーク構築方法
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります
全国の自治体においてDX化を進めている動きがみられています。
マイナンバー制度や窓口業務のタブレット端末活用、さらにはフリーWi-Fiの導入など、DX化を加速させている要因はさまざまです。
これから自治体でネットワーク構築を行っていく方に向けて、どのような注意点があるのかまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
目次
自治体で必要なネットワーク構築とは
最初に自治体のネットワーク構築で押さえておくべき基本的な要素について、以下にまとめてみました。
- ・セキュリティとプライバシーの確保(ネットワークの強靭化)
- ・行政業務の効率化
- ・スマートデバイスを活用した住民サービスの提供
- ・クラウドを活用した災害対策
- ・将来に対する拡張性と柔軟性(庁舎建て替えや新技術導入など)
以上のように、自治体のネットワーク構築には、さまざまな面で考慮すべきポイントがあります。
自治体のネットワーク構築とは
先に解説した要素以外に自治体のネットワーク構築で特徴的なのが、LGWAN(総合行政ネットワーク)の存在です。
地方公共団体同士の情報共有や円滑なコミュニケーションを目的に、2001年から運用開始された行政専用のネットワークで、全都道府県および市町村で利用されています。
一般的なインターネット回線とは隔離された通信網のため、テレワーク推進や庁舎内の無線LAN整備においてLGWAN接続への対処は必要不可欠といえるでしょう。
自治体のネットワーク整備のニーズは?
自治体のネットワーク整備に対するニーズをまとめると以下のようになります。
- ・職員および住民の利便性向上
- ・行政事務の効率化と地域情報の一括管理
- ・コスト削減と災害に対する業務継続性の確保
- ・ネットワークの拡張性と柔軟性
- ・機密性、完全性、可用性を確保するセキュリティ対策
自治体で行うネットワーク構築の課題点
次に自治体で構築するネットワークの課題点についてです。
内容として挙げられるのは、以下のようなものがあります。
- ・予算範囲内でできるのか?
- ・Wi-Fiが不安定でも大丈夫だろうか?
- ・トラブルに巻き込まれても対応できるだろうか?
- ・セキュリティ面の問題は?
それでは各項目について詳しく解説していきましょう。
予算範囲内でできるのか?
課題点として最初に挙げられるのは予算の問題です。
自治体のネットワークは大規模なものが予想されるため、簡単に実施できないケースも考えられます。
予算が用意できない場合、小規模な範囲のネットワーク構築からスタートし、徐々に拡大・変更していくといった方法を選択する必要もあるでしょう。
Wi-Fiが不安定でも大丈夫だろうか?
Wi-Fiが不安定だった場合、業務に支障が発生しないかという課題もあります。
回線の不具合に対してその都度対処していくのは、負担の増加にしかなりません。
この課題を解決するためには、通信環境の安定化が必要です。
そこで、最新規格であるWi-Fi6対応のアクセスポイントを導入することが、対策のひとつとして考えられます。
トラブルに巻き込まれても対応できるだろうか?
ネットワークの規模が大きくなるほど、原因特定に時間を要します。
ゆえに自治体が構築するネットワークにおいても、トラブルの対処が課題となる傾向です。
ネットワークを一元管理できる、有効的な手法・技術を導入する必要があります。
セキュリティ面の問題は?
自治体で取り扱うデータには個人情報も含まれるため、セキュリティの課題も付いて回ります。
自治体が利用する通信網は、個人番号利用事務系とLGWAN接続系、一般のインターネット接続系となる三層構造として構築しなければなりません。
それぞれの通信網を独立させ、個人番号利用事務系のデータをLGWAN接続系で取り扱うといった作業は禁止となります。
インターネット接続系においては、高度なセキュリティ要件を有する「自治体情報セキュリティクラウド」を導入し、対策を一元化する措置も必要です。
自治体でのネットワーク構築導入例
ここまで解説してきた自治体で行うネットワーク構築の課題点は、システム導入に際しての全体的な課題です。
実際の事例においては先に解決したい課題があって、それを実現するネットワーク構築を模索していく形になります。
具体的な課題に対してどのような対策を取っていくのかは、自治体によってさまざまです。
ここからは実際に行われた自治体でのネットワーク構築事例を紹介します。
北海道旭川市
まずは北海道旭川市の事例から紹介しましょう。
課題としては以下のようなものがありました。
- ・SBC方式の採用と無害化装置の利用による業務効率低下
- ・SBCサーバーのリソース不足による動作の不安定化
上記の対策として次のような方法で課題解決を目指しました。
- ・ファイル転送機能と無害化機能を装備して、無害化装置の必要性を排除した
- ・高いセキュリティを確保し、端末のリソースを利用可能とした
愛知県名古屋市
次は愛知県名古屋市の事例を紹介します。
課題とされたのは以下のような内容でした。
- ・災害時の避難所の通信環境
- ・利用者を選ばない通信手段の確立
課題解決に向けて実施した取り組みは次のようなものです。
- ・避難所となる小中学校にWi-Fi設備を導入し災害時にも利用できるようにした
- ・通信に必要な機器を常備し、コンセントに差すだけでインターネットに接続できるよう設定した
兵庫県伊丹市
最後は自治体DXを推進する兵庫県伊丹市の事例になります。
伊丹市では新庁舎建設の際に、場所を問わず柔軟に働ける環境を目指してネットワークの構築に取り組みました。
構築の際に課題として挙げられたのは以下のようなものになります。
- ・自治体DXを加速させつつ、住民サービスと業務効率を向上させる
- ・ネットワークを柔軟かつセキュアに活用する
その対応策として庁舎内のすべてで無線LANが利用できるよう整備し、フリーアドレスに対応したネットワークを構築しました。
また、有線・無線にかかわらずネットワークを一元管理し、リアルタイムで可視化できるシステムを組み込んでいます。
自治体でネットワーク構築方法
自治体でネットワークを構築する際は、専門知識と実装技術を持っている業者への依頼が必要です。
以下にネットワーク基盤の構築業務を展開している企業を紹介します。
JAPAN SYSTEMS
ジャパンシステム株式会社は、金融や通信など幅広い分野のシステム構築を担っている会社です。
地方公共団体向けのネットワークにおいても多数の実績を持ち、テレワークの実現やスムーズな行政運営を可能とする基盤構築を得意としています。
具体的には既存ネットワークの更新や新庁舎向けの設計・構築、テレワーク環境の構築やLGWAN接続・導入構築などが可能です。
Alied Telesis
アライドテレシス株式会社はネットワーク専業のメーカーとして誕生した背景を持ち、深い知見と革新的技術を併せ持つ企業です。
アライドテレシスでは、政府が提唱する「自治体DX推進計画」に沿った自治体向けソリューションを多数提供しています。
主な内容としては自治体三層対策の見直し、無線LANの環境構築、クラウド活用やテレワーク推進、ネットワークの導入・運用・管理です。
まとめ
自治体のネットワークを構築するには、一般の通信網とは違う特徴および独自の要件について理解することが必要です。
その上で導入に対する課題や解決したい問題を明確化させ、それに対応できる具体的なシステムや構築方法を模索していきます。
自治体のネットワーク構築には多数の導入事例があるため、それらの課題・解決方法を分析して参考とする方法もあります。
ここまでの段階で明確化した課題や要望を集約し、実務を担う企業としっかり話し合っていくことで、利便性の高いネットワークが構築できるでしょう。