自治体クラウドPBXとは?導入が進む背景や確認事項を解説!
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります
近年では、一般企業だけでなく自治体でも、クラウドPBXの導入が増えています。
その一方で、クラウドPBXについて知らないという方もいるでしょう。
そこで本記事では、クラウドPBXの概要や自治体への導入が進む背景、導入事例などをご紹介していきます。
クラウドPBXについて知らない方や疑問がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
クラウドPBXとは
ここでは、クラウドPBXの概要について解説していきます。
クラウドPBXって何?導入が進む理由は?
クラウドPBXとは、クラウドフォン・クラウド電話とも呼ばれ、クラウド上にPBXを構築することで、インターネット回線を使用して内線・外線・転送などができる電話システムのことです。
ネット環境が整っていれば、電話機やパソコン、スマートフォンなどさまざまな端末からクラウドPBXにアクセスできます。
導入が進む理由は、以下の4つが考えられます。
- ・導入が容易
- ・デジタルトランスフォーメーションの推進
- ・コスト削減
- ・リモートワークの普及
従来のPBXとの違い
クラウドPBXと従来のPBXの違いは、出社の必要性の有無です。
従来のPBXは、オフィスに電話回線を設置し、そこに接続された電話機を使用して内線や外線電話を行っていました。
つまり従来のPBXは、設置された電話回線が接続された場所でしか電話対応ができず、出社する必要があったのです。
しかしクラウドPBXは、ネット環境さえあれば電話対応ができるため、出社の必要性はありません。
ビジネスフォンとの違い
クラウドPBXとビジネスフォンの違いは、オフィス内にPBXを設置する必要性の有無です。
ビジネスフォンは、PBXをオフィス内に設置しなければならず、機器設置や電話回線の工事が必要でした。
一方でクラウドPBXは、PBXをクラウド上に構築しますが、工事の必要なく容易に導入が可能です。
クラウドPBXを導入する魅力
ここでは、クラウドPBXを導入する魅力について解説していきます。
どこでも内線通話が無料
クラウドPBXを導入する魅力の一つは、どこでも内線通話が無料でできることです。
クラウドPBXは、電話回線ではなくインターネット回線を使用して端末同士をつなぐため、どこでも内線通話網の構築ができます。
また、従来のPBXのように転送料なども必要ありません。
また、スマートフォンにアプリをインストールしてフリーアドレス化できる点もメリットです。
リモートワークの促進
近年では、一般企業のリモートワーク化が進んでいますが、自治体でも同じようにリモートワーク導入を検討するケースが増えています。
場所を問わずに利用できるクラウドPBXであれば、自宅から会社の固定電話番号を使用して発着信したり、かかってきた電話をリモートワーク中の従業員に転送したりと、会社外にいる従業員も電話業務をスムーズに行うことが可能です。
複数の拠点の一括管理が可能
クラウドPBXは、ブラウザの管理画面から設定変更ができるため、各拠点に担当者を配置する必要がなく、複数の拠点を一括で管理することができます。
また従来のPBXでは、拠点ごとにメンテナンスや修理をしなければなりませんでしたが、クラウドPBXは保守運用も提供事業者が行うため、業者に依頼する手間や費用の削減につながります。
人員異動やレイアウト変更を柔軟に対応できる
従来のPBXは、庁舎内の人員移動やレイアウト変更、移転の際に、電話回線の撤去や配線・機器類の移動など大がかりな作業が必要でした。
しかしクラウドPBXは、機器の設置や配線工事が必要ないため、人員移動やレイアウト変更にも柔軟に対応することが可能です。
費用削減と業務効率化
クラウドPBXには、ネットFAX・IVR・通話録音機能があり、費用を削減できる上に業務の効率化にもつながります。
ネットFAXは、スマートフォンやパソコンでFAXの送受信ができる機能で、FAX機器や複合機の購入費用がかからないだけでなく、印刷用紙やインク代も必要ありません。
IVRは、着信時に自動音声で一次対応する機能で、プッシュボタンの操作により該当する窓口へ振り分けることができます。
スムーズに電話対応ができるようになる上に、夜間や休日などの営業時間外には「本日は閉館しました」といったガイダンスを流すことも可能です。
通話録音機能は、外部との電話通話を自動で録音し、いつでも聞き直せる機能です。
不当要求などの問題が生じた際に、通話内容を確認するときに役立ちます。
災害や緊急時のBCP対策に効果的
クラウドPBXは、災害や緊急時に強いといわれています。
クラウドPBXを導入していれば、災害で庁舎や施設がダメージを受けてしまった場合でも、スマートフォンなどの端末があれば業務を続行できます。
また、緊急時に代替庁舎を使用する場合にも、設置や配線工事などの大がかりな作業が不要であるため、すばやく切り替えることが可能です。
クラウドPBXを導入する際の注意点
クラウドPBXは、従来のPBXよりも利便性が高いことが魅力的ですが、操作に慣れるまでに時間がかかることが予想されるため、注意が必要です。
従業員に対して十分なトレーニングやサポートが提供されていないと、システムを効果的に利用するのが難しくなってしまうでしょう。
そのため、レクチャーの時間を確保し、マニュアルや問い合わせの窓口を設けるなどの対策をしておくと安心です。
自治会においてのクラウドPBXの導入事例
ここでは、自治会においてのクラウドPBXの導入事例をご紹介していきます。
豊後大野市
大分県豊後大野市は、地域格差を問題視しており、地域格差是正のために光ファイバーを敷設しました。
防災対策として電話回線を冗長化し、IP電話の導入で市内電話の無料化を図りました。
これは、防犯対策におけるリスク分散や、住民間のコミュニケーションの活性化を促した成功事例となりました。
南会津町
福島県南海津町は、田島町・舘岩村・伊南村・南郷村の4つの村が合併して誕生しています。
そのため、各村で整備した電話設備が混在しており、複雑な状況になっていました。
新庁舎建設を機にクラウドPBXを導入し、使用していない電話機の台数を3分の2に削減し、電話回線を最適化しました。
また、BYODを活用してスマートフォン内線化を目指しており、今後の業務効率化も期待できるでしょう。
クラウドPBXの導入時の確認事項
ここでは、クラウドPBXの導入時の確認事項について解説していきます。
電話番号の引継ぎができるか
自治体の電話番号変更は、住民の混乱を招く恐れがあるため、避ける必要があります。
既存の電話番号を引き継ぐには、以下の条件に当てはまる販売供給元を探しましょう。
- ・ISDNで取得した電話番号である
- ・クラウドPBX販売供給元が携帯電話番号ポータビリティに対応している
既存システムからの移行はスムーズに行えるか
既存システムからスムーズに移行できるかどうかも、確認すべき重要なポイントです。
例えば、既存システムの契約期間が満了していないケースや、拠点ごとに異なるシステムを採用しているケースが考えられます。
また、途中で解約してしまうと高額な違約金が発生してしまう場合や、既存システムではないと実行できない業務がある場合にも、注意が必要です。
既存システムからの移行に問題はないか、あらかじめ確認しておきましょう。
セキュリティやサポート体制は万全か</h3>
クラウドPBXは、住民の個人情報などを取り扱っているため、自治体でセキュリティやサポート体制が整っているかどうかは非常に重要なポイントです。
パスワードの管理といった自社での対策をきちんと取るだけでなく、不具合やトラブル時の相談窓口が充実した販売供給元を選ぶようにしましょう。
費用や機能は導入目的に合っているか
クラウドPBXは、従来のPBXよりも費用が抑えられるといわれています。しかし料金体系は、業者によって異なるため、予算に合った業者を利用するように気を付けましょう。
また導入目的は、企業や自治体によってさまざまで必要な機能も異なるため、必要な機能の選別もきちんとしておくことが大切です。
現在利用したい機能だけでなく、今後必要となる可能性がある機能についても確認しておきましょう。
使用感や通話品質に問題ないか
クラウドPBXは、ビジネスフォンと変わらないほど通話品質が高いのが特徴ですが、インターネット回線を使用するため、使用環境や業者によって通話品質は異なります。
通話品質が著しく低い場合には、住民からクレームや不満が発生する恐れもあるため、事前に無料お試しキャンペーンやデモ機の貸出などを利用して、実際の使い勝手を体験できる業者がおすすめです。
まとめ
クラウドPBXは、リモートワークの推奨やコスト削減などのさまざまな理由により、一般企業だけでなく自治体でも導入が増えています。
クラウドPBXの導入には、たくさんのメリットがありますが、慣れるまでに時間がかかることに注意し、あらかじめ対策を取ることが大切です。
クラウドPBXは、多くの業者が提供しているため、自社の予算や目的に合った業者を利用しましょう。