仮想ブラウザによるインターネット分離とは?メリットや必要性について解説
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります
近年では、サイバー攻撃対策のために従来のセキュリティに加えて、インターネット分離が推奨されています。
中でも仮想ブラウザによるインターネット分離は、低コストで利便性が高い手法として注目を集めています。
本記事では、仮想ブラウザによるインターネット分離の仕組みやメリットについて解説していきます。
仮想ブラウザによるインターネット分離を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
インターネット分離とは
ここでは、インターネット分離の概要や必要性について解説していきます。
インターネット分離とは
インターネット分離とは、企業や組織内で重要な情報を扱うネットワークを、インターネットに接続できる環境にあるネットワークから切り離すことです。
別名でネットワーク分離やWeb分離とも呼びます。
外部脅威への対策の中でも、経済産業省、文化省、総務省などからも推奨されているセキュリティ対策です。
インターネット分離の必要性
近年では、個人情報や機密情報などの重要なデータを狙うサイバー攻撃の手法が高度化、巧妙化しています。
従来のセキュリティ対策は、社内インターネットとインターネットの境界にファイアウォールやメール添付ブロックなどを設置して、端末にはアンチウイルスをインストールしてマルウェアの侵入を防ぐというものでした。
しかし、近年では従来のセキュリティ対策では、サイバー攻撃を完全に防ぐことは困難になってきました。
こうした事態を受け、従来型のセキュリティ対策も維持しながらインターネット分離を行って、サイバー攻撃用の多層防御の構築が考えられています。
仮想ブラウザによるインターネット分離とは
ここでは、仮想ブラウザによるインターネット分離について解説していきます。
仮想ブラウザによるインターネット分離とは
仮想ブラウザによるインターネット分離とは、仮想化技術を利用したインターネット分離です。
Webブラウザを仮想環境で実行し、その画面のみを端末に転送するのが一般的です。
大切なデータの安全性を維持しながらWeb分離を行うことで、ユーザーがWeb上の脅威で被害を被るリスクなく、Webサイトへのアクセスを実現します。
Webサイトのデザインや機能、コンテンツ、ユーザーエクスペリエンスを損なうことはありません。
仮想ブラウザによるインターネット分離の仕組み
専用のサーバー上で仮想ブラウザを稼働させブラウザ画面を転送し、社内の重要なデータを取り扱う業務用のネットワークに接続された端末に映し出します。
端末では画面を見ながらインターネット検索やWeb閲覧などが可能で、Webメールやローカルメールが使用できるほか、ブラウザでインターネットからファイルのダウンロードも可能で、操作感も通常のPCでブラウザソフトを使用するのとほとんど変わりません。
専用サーバーのブラウザから端末へは画面のみが転送されるため、サーバーから端末や社内ネットワークにアクセスすることはできず、もしサーバーがウイルスに感染したとしても社内ネットワークや端末に被害が及ぶことはないため安心です。
仮想ブラウザによるインターネット分離のメリット
ここでは、仮想ブラウザによるインターネット分離のメリットについて解説していきます。
さまざまな脅威への対策
仮想ブラウザによるインターネット分離は、ブラウザを使用する際にウイルスに感染する可能性のあるWebべ―スの脅威から守ってくれます。
Webブラウジングをサイドボックス化することにより、危険なドメインからユーザーや端末、データ、ネットワークを保護します。
また、マルウェアやゼロデイ攻撃、ランサムウェア、プラグインなどのブラウザの貧弱性、感染ファイルのダウンロード、悪意ある広告やフィッシングメールなどさまざまな脅威に対処します。
安全なダウンロードが可能
企業ネットワークへ不正アクセスする主な方法の1つに、マルウェアをダウンロードさせるドライブ・バイ・ダウンロード攻撃というものがあります。
仮想ブラウザによるインターネット分離は、悪意のあるダウンロードやドライブ・バイ・ダウンロード攻撃からユーザーを守ることが可能です。
また、ファイルはリモートサーバーにダウンロードされ、ユーザーがアクセスする前にスキャンされます。
アクセスごとに、取得したすべてのCookieとダウンロードデータが削除されます。
データ損失の防止
仮想ブラウザによるインターネット分離は、プラグイン、Webページ、ダウンロードしたコンテンツに隠された標的型攻撃を回避することで、データの盗難や損失を未然に防ぐことが可能です。
また、ブラウザに保存されたパスワード、同期された自動入力情報やデータなども、セッション後に毎回削除されます。
ファイルのダウンロードやアップロードを制御する機能もあり、ユーザーの人為的ミスによる情報漏洩対策にもなります。
悪質なスクリプトから保護
WebページとWebアプリケーションは、JavaScript、HTML、CSSで構成されており、悪質なJavaScriptの場合、ブラウザがページからJavaScriptを自動的に実行します。
しかし、仮想ブラウザによるインターネット分離をすることで、アプリケーションやWebサイトからのソースコードをユーザーから離れた場所で実行できるため安心です。
また、リダイレクト攻撃、クリックジャック、クロスサイトスクリプトなどの脅威からも保護してくれるため、企業ブラウザを安全に保つことができるでしょう。
悪意のあるコンテンツの排除
ゼロデイ攻撃は、開発者が気づく前に攻撃者がソフトウェアの脆弱性を悪用する方法を発見することで起こります。
攻撃者は、メールや添付ファイルなどさまざまな手段を通じて脆弱性を探し出します。
しかし、仮想ブラウザによるインターネット分離を利用すれば、悪意のあるコンテンツを排除することが可能です。
シームレスで安全なWebアクセス
信頼性の高いWebサイトでも悪意のある広告や意図していないダイレクトなどが含まれている可能性があります。
仮想ブラウザによるインターネット分離を利用すれば、ユーザーが安全な環境にいるかどうかに関わらず、仮想ブラウザからあらゆるWebサイトやサービスにアクセスすることができ、マルウェアやウイルスに感染するリスクもありません。
まとめ
近年では、インターネット分離によるセキュリティ対策が進められています。
中でも、仮想ブラウザによるインターネット分離はさまざまな脅威への対策が可能であるため、総務省や文化省などからも推奨されています。
仮想ブラウザによるインターネット分離を利用すれば、従来のセキュリティ対策では防御することが困難な状況にも対応できるうえ、1台のパソコンで容易かつ操作感が変わることもないため、リモートワークにも適していると言えるでしょう。