LANケーブルの干渉対策|通信不良の原因となるノイズの解決方法について解説
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります
LANケーブルは、パソコンやプリンター、ルーターなどの機器を有線で接続して通信するための線です。有線接続をすると、無線接続よりも通信が安定して快適にインターネットを使用できます。
しかし、配線方法によってはLANケーブルが干渉して、ノイズが生じることがあります。
今回の記事では、LANケーブルのノイズとは何か、またノイズが生じることで起こる症状、ノイズの解決方法について紹介します。
目次
LANケーブルの干渉が引き起こす影響
LANケーブルを複数接続したり、長さに余りが出たりした際には、結束バンドやチューブ、モールなどを使用してまとめる方もいるでしょう。ケーブル類をまとめるとスッキリと片付いた印象になるだけではなく、足元でLANケーブルを引っかけてしまう事故を防止できます。
しかし、LANケーブルをまとめると、隣り合うケーブルが互いに干渉してしまう可能性があります。また、LANケーブルの側に家電が置いてあると、家電の電磁波がケーブルに乗り、ノイズが発生する恐れがあります。
LANケーブルのノイズとは|通信不良の原因となる電磁波
LANケーブルのノイズとは、外部や内部を問わず発生した電磁波でLANケーブルに影響を与えることです。電磁波の影響を受けると、LANケーブル内の電圧が上がって、性能の低下につながります。
LANケーブルのノイズは有線接続で起こると考えられますが、無線接続であっても回線終端装置とルーターをつなぐためにLANケーブルが使用されているため、有線・無線に関係なくノイズの影響を受けることがあります。
LANケーブルのノイズで何が起こる?
有線接続・無線接続に関係なく、LANケーブルはインターネットを使用しての通信に欠かせません。電磁波によるノイズの影響を受けて電圧が上がると、LANケーブルの性能が低下してしまいます。これにより、通信速度の低下や接続不良が起こり、安定した通信ができなくなることがあります。
また、LANケーブル同士が隣接することで、クロストークが起こる可能性もあります。クロストークとは、ケーブル同士が互いに受けるノイズのことを指します。
LANケーブルの干渉を対策する方法
ここからは、安定かつ快適なインターネット通信をするために、LANケーブルのノイズを防ぐ対策について紹介します。
家電製品の近くにLANケーブルを引かない
部屋をスッキリと見せるために複数のLANケーブル類をまとめると、隣接するケーブルが干渉してノイズが発生します。ノイズを防ぐためには、配線方法を工夫する必要があります。
家電製品は、LANケーブルのノイズが発生する大きな要因の一つです。家電製品とLANケーブルとの間に距離を置くことで、電磁波の影響を軽減できるようになります。
部屋のレイアウト上、家電製品から十分な距離を確保できない場合には、ノイズ対策が施されたシールド機能のある配線ダクトを使用することも有効です。
ノイズが発生しづらいLANケーブルを選ぶ
LANケーブルには、シールド加工が施されノイズに強い「STPケーブル」と、シールドのない「UTPケーブル」の大きく2種類があります。
STPケーブルには、ノイズの影響を防ぐシールドがありますが、このシールド部分に貯まった電気がノイズの発生源となりうることがあります。これを防ぐために、アース線の処理をして電気を逃す必要があります。
また、LANケーブルの形状には「スタンダードタイプ」と「スリムタイプ」、「フラットタイプ」の3種類があります。スタンダードタイプは最もケーブルが太いため、家電製品からの電磁波を受けにくく、ノイズに強いです。
必要以上に長いLANケーブルを使用しない
一般的なLANケーブルの長さは、100mが最長とされています。10mのLANケーブルと100mのLANケーブルの通信速度には、ほとんど差はありません。
ただし、LANケーブル内部の銅線は電磁波の影響を受けやすいため、家電製品の付近に配線する場合や、他のケーブルと隣接する箇所があるとノイズが発生しやすくなります。
LANケーブルの長さが余った際に丸めてまとめてしまうと、LANケーブルの中で発生した電磁波の影響を受けることになり、通信速度が低下する可能性があるため、必要最小限の長さで使用しましょう。
LANケーブルの選び方
LANケーブルには、Cat(カテゴリ)や形状、シールドの有無など、さまざまな種類が存在します。
ここからは、ノイズの発生原因を踏まえたうえで、LANケーブルの選び方を紹介します。
用途を考えて選ぶ
LANケーブルを配線する場所が一般家庭で、家電製品を避けて配線できる場合には、スタンダード以外の形状やシールドのないUTPケーブルを使用しても基本的に問題はありません。
一方で、オフィスや工場などの電磁波を避けにくい環境で配線する際には、ノイズ対策は必要不可欠です。ノイズに強いSTPケーブルは、Cat6A(カテゴリ6A)以上とされています。
距離や形状に合わせて選ぶ
LANケーブル内部の銅線は電磁波の影響を受けやすいため、長過ぎるLANケーブルは避けた方が無難ですが、短すぎると配線ができないという場合には、あらかじめ必要な長さを測ってから購入するようにしましょう。
また、狭い場所で配線する際には、スタンダードタイプの形状や単線では繋ぎにくいため、スリムタイプやフラットタイプの形状や“より線”がおすすめです。
まとめ
LANケーブルを配線するとき、他のLANケーブルや電源コード、家電製品などの外部からの電磁波によってノイズが発生することがあります。
ノイズが発生すると、通信速度の低下や接続障害を引き起こす可能性があるため、「家電製品の側にLANケーブルを配線しない」「ノイズに強いLANケーブルを使用する」といった対策をしておきましょう。