LANケーブルの壁内配線とは?作業手順や料金相場とあわせて解説!
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります
LANケーブルの壁内配線を後から自分で行う場合、ある程度の知識と道具が必要です。
また、建物によって難易度は変わりますし、そもそも壁内に使えるルートがなければできません。
この記事では、LANケーブルの壁内配線について、事前準備や工事方法、道具、注意点などを解説します。
目次
壁内配線の施工方法
LANケーブルを壁内配線にする施工方法は、現場によって細かな違いがあるため難易度も手間も一概にはいえません。
しかし、一般的に共通する大まかな流れがあります。
LANケーブル配線に資格は不要
電気工事なら電気工事士、電話工事なら工事担任者といったように、各種工事には専門資格が必要なものが少なくありませんが、LANケーブルの配線に資格は必要ありません。
場合によっては大工事に思える壁内配線であっても資格は不要です。
壁内配線の作業手順
ここからは、一般的なLANケーブル壁内配線の作業手順を解説します。
CD管にLANケーブルを通す
LANケーブルの壁内配線は、CD管と呼ばれる配管を使用して配線すると作業が楽になります。情報分電盤と呼ばれる通信やテレビ関連の装置が設置されている家なら、テレビアンテナ用やLAN用コンセントとの間にCD管が通っているでしょう。
CD管が1本であれば空きがないかもしれませんが、建築時の工事ですぐに使用する本数プラス予備用の空配管を入れているケースも少なくありません。空配管があればLANケーブルを通せます。
空配管に呼び線と呼ばれる鉄線(電線などが代用されていることもあります)が入っていれば、そこにLANケーブルを巻きつけて、反対側から引くだけで壁内配線が可能です。
呼び線がない場合は、通線スチール(通線ワイヤー)を使用します。通線スチールは呼び線と同じ役割を果たす道具です。
コネクタの取り付け
LANケーブルのCat(カテゴリ)に対応したRJ-45コネクタを取り付けます。
以下はCat6A(カテゴリ6)ケーブルを使用する場合の例です。ネクタは貫通型を使用すると芯線の長さ調整が不要になります。
- ・数㎝ほど適度な長さで先端の被覆をむいて中央の仕切りをカット
- ・よってある各線を伸ばす
- ・各色の対応を間違えないようにコネクタに挿し込む
- ・余分な部分をカットしてかしめる
モジュラージャックの取り付け
モジュラージャックの取り付けも、コネクタの取り付けと似ています。大きな違いは芯線の接続方法です。
- ・数㎝ほど適度な長さで先端の被覆をむいて中央の仕切りをカット
- ・よってある各線を伸ばす
- ・8本の芯線をモジュラージャックのそれぞれの色の位置に挿し込む
- ・芯線の余分な部分をカットしてキャップを閉める
LANケーブルを壁内配線にする際のコツ
空配管がない場合や、空配管に呼び線がなく通線スチールも用意できないときは、既存配管の電話線を呼び線代わりに使う手があります。電話線が必要ない場合は、そのまま呼び線としてLANケーブルを通せばOKです。
電話線がないと困る場合は、まず電話線に呼び線となるビニールひもなどを巻きつけて入線します。
次に、入線した呼び線に電話線とLANケーブルの計2本を巻きつけて引っ張れば、電話線もLANケーブルも通線可能です。
ただし、電話線の工事を伴うため、工事担任者の有資格者でなければ実施できません。
他の作戦としては、空配管に呼び線となるビニールひもなどを入るところまで入れておき、管の性質を利用して掃除機で吸い出すという手があります。うまく出てくれば、LANケーブルを巻きつけて引っ張るだけです。こちらの方法なら資格は必要ありません。
LANケーブル壁内配線の注意点
LANケーブルの壁内配線は環境さえ整っていれば、そこまで難しくない作業だともいえます。
しかし、気をつけないと大事になる可能性もある作業です。ここでは、LANケーブルを壁内配線にする際の注意点を説明します。
自己所有物件でない場合は許可を得る
壁内配線しようとする家屋が自己所有物件ではない場合、事前に所有者や管理会社に申し出て許可をとっておきましょう。
借りている家は家主の大事な財産であり、LANケーブルの壁内配線に限らず、工事をしたい場合はほとんどのケースで許可をとる必要があるといえます。黙って作業を行うと、事故など問題が起きたときに大変です。
隣接電源のブレーカーを落としておく
LAN配線を接続するコンセントに電源が来ている場合、万一の事故に備えてブレーカーを落としておくことが重要です。
また、壁内でLANの配線ルートに近い位置にある隣接電源のブレーカーも落としておくとより安全に作業ができます。とくにCD管を通さず裸配線する場合は重要です。
空配管がない場合は無理をしない
空配管がない場合、LANケーブルを壁内配線にする際のコツで述べた方法が使えればよいですが、使えない場合は無理をしないことが優先されます。
わずかな壁のすき間を狙ってケーブルを通すのは難しいことであり、建物の一部を壊さないとルートの確保ができないケースもあるため無理は禁物です。
既存LANケーブルの交換タイミング
既存LANケーブル交換のタイミングは、耐用年数よりも速度が気になったときだといえるでしょう。壁内配線の目的が既存ケーブルの交換であれば、CD管内で入れ替えれば済みます。古いケーブルを呼び線にすればOKです。
LANケーブルの壁内配線ができない場合の代替案は2つ
無線LANの選択がなく、壁内配線ができない場合の代替案を2つご紹介します。
PLC
PLCは宅内を走っている電源線に通信ケーブルの役割も兼ねさせる技術であり手段です。家の中にあるコンセントにつなぐだけで、どこにいても有線LAN環境が手に入ります。
ただし、電源線を利用していることから、電気ノイズの影響を受けることがあり、速度と安定性が弱点です。
同軸ケーブルモデム
同軸ケーブルモデムは、テレビ用に配線された同軸ケーブルに通信を載せる装置です。
既存の配線を利用する点ではPLCと同様といえます。
手軽に有線LAN環境を構築できますが、デメリットとして高速を求めている場合は物足りないかもしれません。
専門業者に壁内配線を依頼した場合の費用相場
専門業者に依頼した場合の費用について解説します。
工事範囲によって料金は大きく変わる
LANケーブル1本を単純に壁内配線にするだけの工事で、空配管を利用する場合は1万円台でできるケースがあります。
両端のモジュラー取り付けや長距離配線が加わると「数万円」必要です。もちろん、業者によっても料金が異なりますが、工事の範囲や難易度によって料金は大きく変わります。
複数業者から見積もりをとろう
業者によって料金設定が異なるため、1社見積もりでは依頼した業者次第で想定外に高くなる可能性があります。そのため、複数社から見積もりをとることが重要です。
見積もりを見る際、金額だけを比較するのではなく、工事内容もしっかりと比較しましょう。同じ金額でも内容に差があるケースがあるためです。
まとめ
自分で出来れば工賃は不要ですが、誰でもできるわけではないのがLANケーブルの壁内配線です。
もし専門業者への依頼を検討する場合は、複数社に見積もりを出してもらい、しっかりと説明を受けてください。技術力があり経験豊富な専門業者に依頼すれば、安心安全な工事が期待できます。