LANスイッチとは?種類やメリット、類似機器との違いとあわせて解説!
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります
ネットワークを構築するためには、LANスイッチが必要です。
しかし、LANスイッチが実際にどんな働きをしているのか知らないという方は多いのではないでしょうか。
本記事では、LANスイッチの機能や使うメリット、耐用年数などを解説します。
LANスイッチについてお困りの方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
LANスイッチとは
LANスイッチは、ネットワークを構築する上で重要な装置です。
ここでは、LANスイッチの種類、メリット、耐用年数をご紹介します。
LANスイッチの種類
LANスイッチには、大きく分けてL2スイッチとL3スイッチの2種類があります。
L2スイッチとL3スイッチの違いは、以下のとおりです。
種類 |
価格 |
ルーター機能 |
通信するデータ層 |
L2スイッチ |
約5,000〜3万円 |
あり |
MACアドレスを使用してレイヤー2の層を通信 |
L3スイッチ |
約10〜30万円 |
なし |
MACアドレスとIPアドレスを使用してレイヤー2とレイヤー3の層を通信 |
L3スイッチはルーターのような働きをし、L2スイッチに比べて高性能なのが特徴です。
LANスイッチを使うメリット
LANスイッチを使うメリットとして、以下の4つが挙げられます。
●複数の機器をネットワークに接続可能
●必要なデータのみ転送可能
●効率的な通信が可能
●高速処理が可能
まず、1つ目のメリットは、複数の機器をネットワークに接続可能な点です。
LANスイッチは分岐させてネットワークへの接続数を増やす装置です。
つまり、本来であれば1台の機器しかネットワークに接続できないものが、LANスイッチを使用することで複数の機器がネットワークに接続可能になります。
2つ目のメリットは、必要なデータのみ転送可能な点です。
LANスイッチは相手装置を特定するためのMACアドレスを使用しています。
MACアドレスはそれぞれの機器に割り当てられており、世界中にある他の機器と重複することはありません。
LANスイッチは、受信したデータの送信元のMACアドレスと送信先の接続口であるポートを対にしていくつも覚えておけるMACアドレステーブルがあります。
そのため、対応するポートにのみデータを流し、余計なデータが多数のポートに流れるのを抑えられるのです。
3つ目のメリットは、効率的な通信が可能な点です。
リピータハブで接続された機器が同時にデータを送信し、衝突することをコリジョンといいます。
コリジョンが発生する範囲をコリジョンドメインと呼びますが、LANスイッチはデータの交差点でコリジョンが起こらないように、コリジョンドメインを切り離せるのです。
よって、コリジョンが生じることなく、効率的にデータを送信できます。
4つ目のメリットは、高速処理が可能な点です。
LANスイッチは、データの転送に特化した専用のハードウェアで処理しています。
そのため、多くのデータを高速に転送できるのです。
LANスイッチの耐用年数
ネットワーク機器は精密機械であるため、長年使用していると、劣化してやがて内部が故障してしまいます。
LANスイッチの法定耐用年数は、10年だといわれています。
2001年までネットワーク機器は、すべて耐用年数は6年と定められていましたが、2002年からは個々に法定年数が定められるようになりました。
LANスイッチの主な機能
LANスイッチには多数の機能がありますが、中でも主要なものは以下の4つです。
●スイッチング
●VLAN
●ループガード
●リンクアグリゲーション
スイッチング
スイッチングとは、データを送信するポートを選択する機能のことです。
LANスイッチにはMACアドレステーブルがあるため、必要なポートにのみデータを送信できます。
不要なデータをさまざまなポートに送信し、飽和状態になることを抑制できるのです。
VLAN
VLANとは、LANスイッチの内部でLANセグメントを分割する機能のことです。
アドレスセグメントごとに分割できるため、無駄な通信を減らすことができます。
たとえば、会社の中で部署が分かれており、他の部署とはデータを共有したくない場合に使用できます。
ただし、VLANと別のVLANの間では通信ができないため、注意してください。
ループガード
ループガードとは、通信のループを防止する機能のことです。
ループはネットワーク設計のミス、LANケーブルの誤接続などにより引き起こされる現象で、スイッチから送信されたデータがまた同じスイッチに戻ってくることを指します。
ループが発生すると、ネットワークが停止してしまうおそれがあります。
しかし、LANスイッチは万が一ループが発生しても、自動的に感知して対象のポートを切断してくれるのです。
リンクアグリゲーション
リンクアグリゲーションとは、複数のポートを仮想的に1つのポートとして扱う機能のことです。
リンクアグリゲーションの使用には、2つのメリットがあります。
1つ目のメリットは通信帯域が拡大し、ネットワークが高速化することです。
たとえば、1つのポートで1Gの通信が可能な場合、4つのポートを仮想敵に4つのポートとして取り扱えば、4Gの通信が可能になり、通信速度が向上します。
2つ目のメリットはネットワークの冗長性を向上し、高い確率で可用性を確保できることです。
たとえば、仮想的に2つのポートとして取り扱う場合に、1つのポートに断線が起こったとしましょう。
片方のポートに障害が起こっても、もう一方のポートで通信できるため、通信には何の影響もないのです。
2つ同時に障害が起こらないとはいえませんが、1つのポートに起こる確率と比べると低くなるでしょう。
LANスイッチと類似機器の違い
LANスイッチにはハブ、ルーターといった類似機器があります。
それぞれ別個の機能がありますが、ほとんど知られていません。
LANスイッチとハブ、ルーターの違いを理解し、それぞれの特徴を活かして使い分けましょう。
LANスイッチとハブの違い
LANスイッチとハブの違いは、データの宛先の認識機能があるかどうか、帯域幅を共有しなければならないかどうかです。
LANスイッチはMACアドレステーブルを使って、データの送信先と宛先が分かります。
一方、ハブは送信先と宛先が分からないため、必要のないポートにまでデータを送信してしまう可能性があるのです。
また、LANスイッチはそれぞれの機器が持つ通信速度を直接使用できます。
一方、ハブは接続されたデバイスのすべてのポートが同じ帯域幅を共有しなければなりません。
LANスイッチとルーターの違い
LANスイッチとルーターの違いは、ネットワークにおける役割、データ転送の判断材料、扱うデータの種類です。
LANスイッチはLANを構築するための装置であるのに対し、ルーターはLAN同士を繋ぐための装置です。
また、LANスイッチはデータ転送の判断材料としてMACアドレスを使用し、MACフレームというデータを転送します。
一方、ルーターはIPアドレスを使用し、IPパケットというデータを転送します。
まとめ
LANスイッチはネットワークを構築するために欠かせない機器です。
LANスイッチを利用することには、複数の機器の接続、必要なデータのみの転送、効率的な通信、素早い処理というメリットがあります。
多くの方がLANスイッチとの判別がつかない機器として、ハブやルーターを挙げられますが、それぞれ機能が異なるため、違いを理解して使い分けましょう。