LANケーブルの単線とヨリ線、それぞれの特徴
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります
LANケーブルの内部は、8芯の銅線によって構成されています。さらに、それぞれの芯の作りによって「単線」と「ヨリ線」という2種類に分類されます。LANケーブルとしての性能は、通信速度や取り回しなど、それぞれ同じではありません。こちらでは「単線」と「ヨリ線」それぞれの構造や、性能についてお話します。
単線LANケーブルの特徴
ケーブル内部にある8芯の銅線がそれぞれ1本の銅線で構成されているLANケーブルを「単線」と呼びます。
銅線を含めた導体では、外側の表面に近い部分ほど電気信号が流れやすくなる「表皮効果」という性質がありますが、太い銅線は表面の面積が広くなるため、この効果が強まります。単線のLANケーブルは太い8本の銅線でできているため、それぞれの表記効果が高く、電気信号が伝わりやすくなるのです。
一方で、構成している銅線の太さから曲げることが難しいという欠点があります。入り組んだ場所や狭い場所にLANケーブルを張り巡らせる場合、単線では配線の導入が難しくなるかもしれません。
実際の使用感としては、安定した通信が特徴です。また、電気信号を効率よく通す必要がある長距離の配線では、単線が推奨されています。
ヨリ線LANケーブルの特徴
8芯の銅線がそれぞれ太い1本の銅線で構成されている単線に対し「ヨリ線」は7本の銅線で1芯ができています。
ヨリ線では、必然的に一つ一つの銅線が細くなるため、柔らかく折り曲げが容易です。複雑な場所や狭い場所でも、簡単に配線ができます。
銅線の細さは、そのままデメリットにもつながります。表皮効果が弱まるため、電気信号の伝わりやすさは単線のほうが優れています。このことから、通信速度についても単線に劣ります。
通信の安定性についても、単線より劣ると評価されているようです。業務レベルのネットワークや長距離の配線では、ヨリ線は推奨されていません。ただ、家庭用や5m程度の配線であれば、ヨリ線による悪影響はほとんどないといわれています。
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内部構造が違うだけで、LANケーブルの性能は大きく変わります。実際の優劣については使用する現場に応じて変わるため、一概に決めつけることはできません。家庭用や業務用など、使われるシチュエーションによってベストな選択は変わってきます。使用環境や配線の長さと複雑さ、どの程度の通信速度やレスポンスが求められるかによって「単線」「ヨリ線」の選択を決めるとよいでしょう。