UTPケーブルとSTPケーブルの違い
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります
一部のネットワーク環境においては、ノイズが通信に悪影響を与える可能性があります。そうした環境で活躍しているのが「STPケーブル」です。一般的には「UTPケーブル」が広く普及しています。こちらでは「UTPケーブル」と「STPケーブル」の違いについてお伝えします。
UTPケーブルの特徴
「UTP」は「Unshielded Twisted Pair」の略です。「UTPケーブル」とは「シールド処理が施されていないペアの撚りケーブル」を指します。一般的なLANケーブルはこのUTPケーブルを意味しており、家庭やオフィスなど多くの環境で使用されています。
「シールド処理」とは、簡単に言うと外部ノイズを遮断するための処理です。シールド処理を実施することで、外部ノイズに対する耐性が強くなり通信速度や通信の安定性が増します。
多数のネットワーク機器が設置されている一部の環境を除き、一般的なネットワーク環境ではシールドの有無が問題になるほど、大きなノイズによる影響は考えられません。後述するSTPケーブルよりも安価なため、多くの環境ではUTPケーブルが選択されます。アース処理を実施する必要がない手軽さもメリットです。
STPケーブルの特徴
「STP」は「Shielded Twisted Pair」の略であり、STPケーブルは「シールド処理が施されているペアの撚りケーブル」を意味します。シールド処理を実施することにより、電磁波やノイズへの高い耐性を実現しています。
一方で、外部ノイズによってシールドにたまる電機はさらなるノイズの発生源となります。そのため、STPケーブルではネットワーク機器にアース処理をし、電気を逃がす必要があります。アース処理ができない場面でSTPケーブルを用いると、たまった電気がノイズの発生源となり、通信に悪影響が起こり得るでしょう。
家庭用ネットワーク製品でアース処理ができるものはごくわずかです。そのため、一般的なネットワーク環境でSTPケーブルが選ばれることはあまりありません。また、上述したように特殊な環境を除けば、外部ノイズが通信に与える悪影響はごくわずかです。
反対に、工場やデータセンター、機器が集中しているオフィスや市街地、ADSL環境などでは、STPケーブルが使用されることもあります。
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多くのネットワーク環境では、UTPケーブルによって問題が生じることはありません。また、一般的に流通しているLANケーブルの多くはUTPケーブルです。一方で、ノイズの集中している環境ではSTPケーブルを選ぶメリットもあります。使用環境に応じて適切なLANケーブルを選びましょう。