ファイバーケーブルの基礎知識をわかりやすく解説
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります
ファイバーケーブルとは、ガラスやプラスチック製の光信号を通すケーブルのことです。データ通信を始め、照明や内視鏡などさまざまなことに活用されています。
光の屈折率の高いコアと、光の屈折率の低いクラッド、さらにその外部を覆うシースの3つのパーツが組み合わさって構成されています。
ファイバーケーブルにはシングルモードとマルチモードの2種類があり、シングルモードは長距離のデータ通信に、マルチモードは短距離のデータ通信に適しています。
ファイバーケーブルについて構造や種類を理解し、用途にあったものを選ぶようにしましょう。
本記事で詳しく解説します。
ファイバーケーブルとは?
ファイバーケーブルとは、ガラスやプラスチックで構成された光信号を通すケーブルのことです。
ガラスやプラスチックのみだと非常にもろいので、周囲をさらに不透明なシリコンやナイロンなどの物質で覆って保護をしています。
ファイバーケーブルは電気信号による通信を行うメタルケーブルと比較しても信号減衰を最小限に抑えることができ、より遠くまで信号を送ることが可能です。
そんなファイバーケーブルは私たちの生活のさまざまな場面で利用されています。
ここではさらにファイバーケーブルの詳しい使用用途についてご説明していきます。
使用用途1.データ通信
ファイバーケーブルと聞いて皆さんが思い浮かべるのは、光回線で使われている光ファイバーケーブルではないでしょうか。
インターネット回線の1種である光回線は、このファイバーケーブルを利用しています。
光回線はデータを1度レーザーの光に変換し、ファイバーケーブルの中を通して光を送った後、再び光をデータに戻すことで通信を行っています。
ファイバーケーブルを利用することにより、大容量のデータを高速で遠くまで送ることが可能です。
そのため、ファイバーケーブルは現代のように毎日大量のデータがやりとりされる社会において、欠かすことができない存在なのです。
使用用途2.照明
ファイバーケーブルは光を伝達することに長けているため、イルミネーションなどの照明に利用されることもあります。
照明にファイバーケーブルを利用する場合、周囲をシリコンやナイロンなどで覆わず、あえて側面から光が漏れるようにされていることもあります。
使用用途3.内視鏡
医療用の内視鏡にもファイバーケーブルは利用されています。
ファイバーケーブルの一方から入射した像が、ケーブル内を伝って反対側で映し出されることにより、直接見ることのできない部位を見ることができます。
ファイバーケーブルの構造
ファイバーケーブルは光の屈折率の高いコアと呼ばれる部分と、光の屈折率の低いクラッドと呼ばれる部分、さらにその外部を覆うシースで構成されています。
屈折率の高いコアと低いクラッドを組み合わせることで、光がコア内で屈折や全反射し、遠距離まで光を伝達することができます。
コアとクラッドで構成されたものをファイバー心線と呼び、複数のファイバー心線をシースでさらにまとめて保護したものファイバーケーブルと呼んでいるのです。
ファイバーケーブルの種類
ファイバーケーブルにはシングルモードとマルチモードの2種類があります。
それぞれについて解説します。
シングルモード
シングルモードは光が単一で伝達されます。
また、光が通るコアの部分が細いため、コア内で光が分散せず、長距離や高速での光の伝達を得意としています。
しかし、コアが細い分曲げには弱いので注意が必要です。
長距離かつ広域でデータの伝達をするなら、シングルモードを選びましょう。
マルチモード
マルチモードでは光が複数に分かれて伝達されます。
光が複数に分かれるため、長距離や高速での光の伝達には不向きとされています。
ただ光が伝達するコアの部分が太いため、曲げには強いです。
よって基本的にマルチモードは、低容量のデータを短距離でやり取りする際に活用されます。
また、マルチモードはさらにSI(ステップインデックス)型とGI(グレートインデックス)型に分けることができます。
SI(ステップインデックス)型はコアの内部の屈折率が一定となっており、光の入射角によって、光の進み方や反射回数が異なり、伝達速度に差が生じてしまうため、現在ではほとんど使われていません。
GI(グレートインデックス)型はコアの内部の屈折率が一定ではないため、光の入射角や進み方が異なっていたとしても、伝達速度が一定になるように光を反射させることができます。
そのため、安定した伝達を行うことが可能です。
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ファイバーケーブルは光信号を通すケーブルのことです。データ通信を始め、イルミネーションや内視鏡など活用方法は多岐にわたります。
シングルモードとマルチモードの2種類があるので、用途にあったものを選ぶようにしましょう。
シングルモードは長距離のデータ通信に、マルチモードは短距離のデータ通信に適しています。