LANケーブルのB結線とは?A結線との違いをわかりやすく解説
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります
パソコンとモデムを接続したり、サーバと周辺機器を接続するのに使われているのがLANケーブルです。このLANケーブルにはA結線とB結線があるのですが、この違いは何でしょうか。また、A結線にするかB結線にするかで性能が変わるのでしょうか。今回は、LANケーブルのA結線とB結線の違いについて解説します。
LANケーブルのB結線とは?
通常、LANに使われているRJ-45タイプのコネクタには、T568A配列とT568B配列という配列結線があります。この中でT568AをA結線と呼び、T568BをB結線と呼んでいます。これはアメリカのANSI/TIA/EIA-569A規格によって決められたものです。
配列結線とはケーブルのどの線がコネクタのどのピンにつながるかというものです。B結線ではピンNo.1と2に橙、ピンNo.3と6に緑が接続されています。
LANケーブルのA結線とは?
A結線は、コネクタのピンNo.1と2にケーブルの緑色を接続し、ピンNo.3と6に橙色を接続したものです。上記のB結線とはピンの接続が違うだけで、性能の違いはありません。
LANケーブルのB結線とA結線の違い
LANケーブルのB結線とA結線の違いは、ただ単に配線が違うだけです。ただし、LANケーブルを扱う場合は、A結線とB結線が混在していると間違いのもとですから、どちらかに統一するようにしましょう。
なお、LANケーブルにはアメリカのANSI/TIA/EIA-569A規格以外にも、国際規格や日本のJIS規格などがあります。国際規格やJIS規格にはA配列、B配列といった区別はなく、ただピンの対の割り当てだけが規定されていて、どの対をどう割り当ててもよいことになっています。
つまり、アメリカのANSI/TIA/EIA-569Aに準拠した規格を採用した国だけに、A結線とB結線の違いがあるということです。
ストレートケーブルでは主にB結線が採用されている
LANケーブルには、ストレートケーブルとクロスケーブルがあります。ストレートケーブルは、ケーブルの両端ともA結線もしくはB結線に統一されているLANケーブルで、クロスケーブルは片方がA結線、もう片方がB結線になっているLANケーブルです。現在はほとんどの場合、ストレートケーブルが採用されています。
現在主流となっているストレートケーブルでは、ほとんどの場合B結線が採用されています。ではなぜB結線が多いのかというと、はっきりした理由があるわけではないようです。A結線は橙と緑の芯線がお互いをまたぐように結線されているので、内部配線が複雑になっていますが、もしかするとこのあたりに理由があるのかもしれません。
ただし、どちらを主流にしても性能に差はないので、どちらのケーブルを選んでも問題になるようなことはありません。
昔はクロスケーブルとストレートケーブルを使い分ける必要があった
以前は、以下のような基準でケーブルが選ばれていました。
*ストレートケーブル:パソコンとハブ、パソコンとルーターなど、違う機器を接続する場合に使用
*クロスケーブル:パソコンどうしやハブどうしのように、同一機種を接続する場合に使用
しかし、現在のデバイスには相手側の機器のポートや、LANケーブルを判別できる機能が装備されているので、ストレートケーブルとクロスケーブルを使い分ける必要がなくなりました。
パソコンとパソコン、ハブとハブの接続にクロスケーブルが使われていたのは、送信側と受信側が同じなので、コネクタの送信と受信を入れ替えないと、信号どうしがぶつかってしまうからです。
ちなみに、LANケーブル内部には8本の芯線がありますが、この芯線には単線とヨリ線があります。単線は芯線が太く通信性能に優れているのが特徴です。ヨリ線に比べて作りやすいので値段も安価ですが、単線は硬いので使いにくいという欠点があります。
一方ヨリ線は細い線をヨリ合わせて1本の芯線が作られています。ヨリ線のケーブルは柔らかいので使いやすいのですが、通信性能が単線より劣るうえに値段も少々高めです。
実は同じヨリ線でも、メーカーによってヨリのピッチはバラバラで、統一された規格はありません。また、LANケーブルに使われている橙と緑のペアの芯線は、4本ともヨリのピッチが少しずつ変えてあります。これは、ヨリ線のピッチを同じにすると、電磁的な干渉が起きてしまうためです。
ヨリ線の芯線を使うのは、エネルギーを漏らさないようにして、伝送ロスを減らすことも理由のひとつです。このため、電磁的干渉を減らして外部からのノイズを遮断するためにも、ヨリ線のピッチを変える必要があるのです。
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LANケーブルのB結線とA結線の違いは、コネクタ内のピンと芯線の接続が違うだけで、性能に違いはありません。現在、日本ではA結線が使われることはほとんどなく、ほぼすべてのLANケーブルがB結線になっています。
以前のデバイスはA結線とB結線の違いを認識できなかったため、A結線とB結線を間違えないようにする必要がありました。しかし、現在ではデバイスに自動認識機能が装備されているので、どちらの結線でも問題なく使えます。