ネットワーク機器が10ギガビットでリンクアップしないという事態はなぜ起こるのか|LANケーブルと結束バンドのことなら|パンドウイット

ネットワーク機器が10ギガビットでリンクアップしないという事態はなぜ起こるのか

※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります

ネットワーク機器

過去に敷設したLANケーブル(Cat6A)を流用し、無線LANアクセスポイント/ネットワークスイッチ等のネットワーク機器を10ギガビット対応に更新したが、10Gでリンクアップしないということがあります。

今回は、こうした現象で考えられる原因をご紹介します。

 

そのケーブル・モジュラープラグ・モジュラジャック、本当に規格適合のCat6A(カテゴリ6A)?

GIGAスクール構想をきっかけに、多くのメーカーがCat6Aのモジュラープラグ・ジャックの販売を開始しました。ところが残念なことに、規格要求性能を満足に満たしていない製品や家庭向け製品が流通していることがあるようです。

不安がある場合には、敷設済みケーブルやモジュラープラグ・ジャックのメーカー及び型番から製品仕様を確認し、業界標準規格(ISO/IEC11801, ANSI/TIA568.2-D等)のCat6A規格に適合しているか確認してみて下さい。もし規格適合品でないとなると、ケーブルやコネクタ自体の性能不足により10ギガビットでリンクアップできていない可能性があります。

この場合には、ケーブルの引き直しやコネクタの交換等が必要になります。ただ、是正対策(不要配線の撤去, 新規配線等)に多くのコストが掛かるため、10ギガ通信は諦めてNBASE-TやmGigを使った2.5G/5G通信で対処するのも一つの選択です。

このように「せっかく10ギガビット対応が可能な配線設備への投資をしたにも関わらず、肝心の10ギガ通信ができない」ということがあるのです。投資を無駄にしない為にも、規格適合品を指定・確認し調達することが如何に重要かがお分かりいただけると思います。

 

そのケーブル、エイリアンクロストーク対策はありますか?

Cat6Aを使用する高帯域通信では、隣接するケーブルやモジュラージャック部分においてエイリアンクロストークが発生し、通信品質・性能に悪影響を及ぼします。

現在流通しているCat6A UTPケーブルの中にはエイリアンクロストーク対策が施されていない製品も多数あります。エイリアンクロストーク未対策品の場合、エイリアンクロストークが影響し、10ギガビットでリンクアップしないケースがあります。

CAt6A UTPケーブルを採用する場合は、必ずエイリアンクロストーク対策としてAXテープを採用しているケーブルを指定しましょう。

 

配線工事の際に試験データを受領していますか?

10ギガビットの通信を担保する場合、配線作業後の性能適合試験が非常に重要となります。単なる導通チェッカーによるテストでは伝送性能が測定されていませんので、フルークネットワークス社や原田産業(株)等が提供する「認証ケーブルテスター」を使用し、標準規格に適合・認証されている事が保証されなければなりません。

もし試験作業がなされていない場合、当初よりCat6Aの性能が担保されておらず、10ギガビット通信は保証されていない状態だったと言えます。なお、導入時に試験作業実施済みの場合は、納品時点でCat6Aの性能が担保されていたことになりますので、10ギガビット通信が機能しない原因は納品後に生じている可能性が高いでしょう。

この場合は、有償となりますが施工会社に原因の切り分けと対策を依頼する流れとなります。

 

シールド(STP)ケーブルの場合はアース処理が必須

シールド仕様のCat6Aケーブルを使用している場合、配線システムの接地が重要となります。両端を等電位でアース処理することが、最もシールドケーブルの性能を高めます。

しかしながら、多くの日本の建築環境では等電位アース環境が無いため、等電位を確保することが難しく、シールドケーブルの特徴でもある「周りのノイズをあえて呼び込みアースからノイズを逃がす機能」を生かすことができません。適切なアース処理がなされていない場合や、そもそもアース処理を行っていない場合は、呼び込んだノイズの逃げ道がないためケーブルにノイズが溜まり、水を出しっぱなしにしたバスタブから水が溢れるように、溜まったノイズがいつか許容範囲を超え通信のパフォーマンスに影響を与えます。問題解決の方法として、シールドケーブルの場合は、正しい接地処理を施すことにより、安定した性能を取り戻せる可能性があります。

弊社では外来ノイズが少ないオフィスや学校、データセンター等、シールドケーブルが必須では無い環境においてはUTPケーブルの採用を推奨しております。

 

将来無駄な追加費用を発生させないために

粗悪な製品を購入することがないよう、規格適合品を指定した上で、配線工事の際は必ず規格認証試験作業もセットで依頼しましょう。

Cat6A製品の選択においては価格も大切な要素の一つですが、価格以外の要素(導入実績、シェア、AXテープの有無等)も採用基準として重要な意味を持っています。

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