【素材別】結束バンドの耐熱温度 用途に合わせて使い分け
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります
結束バンドとは、主に複数の物を束ねてまとめたり、整えたり、資材を連結させたりするベルト状の配線アイテムです。結束バンドは手軽で使いやすい作業性と強度の高さ、幅広い材質とサイズが特徴で、さまざまな用途に活用できます。
そこで今回は、結束バンドの耐熱温度や用途についてご紹介します。
結束バンドの素材
結束バンドには、「ナイロン」「ポリプロピレン」「エラストマー」「フッ素樹脂」「ステンレス」とさまざまな材質の製品があり、それぞれに特長があります。
ここからは、それぞれの特徴について詳しくご紹介します。
【素材別】結束バンドの耐熱温度「ナイロン」
ナイロンは、結束バンドに多く使われるプラスチック素材です。
ナイロンの特徴は、引っ張り強度に優れており表面が固く摩耗しにくい性質です。結束バンドに限らずあらゆる製品に使われています。
他のプラスチックより融点が高く、一般的なナイロン(ナイロン6)で225℃まで耐えることができる耐熱性を持っており、綿に比べると対摩擦性は10倍の強度で、酸に対しては100倍の強度を持ちます。
・ナイロン66
ナイロンにはさまざまな種類があり、なかでも多く利用されている素材が「ナイロン6」と「ナイロン66」です。ナイロン66は、ナイロン6よりも耐熱温度や強度に優れ、各種物性のバランスに優れた素材で、耐熱温度は265℃にもなります。
・ナイロン46
ナイロン46はナイロン66よりも更に耐熱温度や耐摩擦摩耗性があり、耐熱温度はナイロン66よりも高い295℃です。また、耐衝撃性や耐油性、耐薬品性、絶縁性などにも優れています。
しかし、ナイロン46は紫外線により黄変しやすく、吸水性が大きいことからサイズ変化を起こしやすいため屋外で使用する際には注意が必要です。
【素材別】結束バンドの耐熱温度「ポリプロピレン」
ポリプロピレンとは、プロピレンを重合させた樹脂であり、PPと記号表記される熱可塑性プラスチックに分類される素材で、結束バンドによく使われる素材です。
ポリプロピレンの特徴は、引っ張り強度、衝撃強度、圧縮強度に優れており、表面硬度も高いため耐摩耗性もあります。耐熱温度は160℃程度です。表面には光沢と艶があり着色も可能で、ポリエチレンに続いて多く生産されているとされています。
軽くて安いという特徴のポリプロピレンですが、耐候性には他のプラスチックに比べても難があり、日光に当たると白化してしまいます。製品によっては耐候性をもたせた結束バンドもありますが、一般的なポリプロピレン製品は日光に当たると劣化しやすい弱点があるため、屋外の使用には向いていません。
【素材別】結束バンドの耐熱温度「エラストマー」
エラストマーとはゴムの弾力性をもった素材、材料の総称です。
柔軟性と弾力性に優れているため結束物を傷めず、LANケーブルなど精密機器の結束に向いています。
エラストマーには、「熱硬化性エラストマー」と、「熱可塑性エラストマー」とがあります。
シリコンゴムやフッ素ゴム、ウレタンゴムなどが熱硬化性エラストマーとなり、熱を加えても軟化しません。
熱可塑性エラストマーは、ゴムや樹脂をベースにした材料となっており、熱を加えると軟化し、冷やすとゴム状に戻るという特徴を持ったエラストマーです。熱によって軟化するため成型加工が可能となる反面、耐熱温度が劣ります。
エラストマーの耐熱温度は90℃から150℃となっており、耐熱性は優れていない素材です。
【素材別】結束バンドの耐熱温度「フッ素樹脂」
フッ素樹脂とは、重合したオレフィンから得られる合成樹脂の総称です。
フッ素樹脂には、耐熱温度が高い、摩擦性が低く滑りがよい、非粘着性に優れてくっつきにくい、絶縁性(電気を通しにくい)、ナイロンよりも酸やアルカリに強いなどの優れた特徴があります。
耐熱温度は170℃で、-80℃でも使用できる耐寒性も備えており、フッ素樹脂の結束バンドは高性能といえます。
また、耐候性にも優れているため、屋外の使用に向いている素材です。
【素材別】結束バンドの耐熱温度「ステンレス」
ステンレス製の結束バンドは、ナイロンや樹脂より耐候性、耐熱温度、耐薬品性、耐紫外線性に優れています。また、強度が高く錆びにくいため、屋外の配管や熱が発生する機械の補修に使われる結束バンドの素材です。耐熱温度は538℃と優れています。
ステンレス製の結束バンドは、一度締めてしまうと緩まないロック構造になっているため、余った部分はニッパーなどでカットして使用しましょう。
家庭で結束バンドの素材を選定すべき場所
結束バンドには、使われている素材によって耐熱温度や耐久性が異なります。
ガスコンロや暖房器具などの高温になる場所で使う場合は、耐熱温度の低いポリプロピレン製・エラストマー製・フッ素樹脂製・ナイロン製の結束バンドは避け、ステンレス製の結束バンドにした方がいいでしょう。
家庭菜園の支柱の結束など雨風にさらされる場所には耐候性と明記された結束バンドを使い、重い物を結束する場合には耐荷重もチェックする必要があります。
用途に合わせて結束バンドを選びましょう
結束バンドは材質によってさまざまな用途があり、耐熱温度にも差があります。
まとめ方や使用場所によっても適した素材が異なります。結束バンドを購入する際には、どこでどのように使用するかを考えてから選びましょう。