結束バンドの強度を保つポイント 結束バンドを安全に使うために
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります
結束バンドは、ケーブルを束ねたりまとめたりする際に使える便利なアイテムです。結束バンドの代表的な素材は強度が高いナイロンで、耐久性と柔軟性に優れているためさまざまな用途で活用されています。そこで今回は、結束バンドの強度や安全に使うための強度を保つポイントについてご紹介します。
結束バンドの引張強度とは
結束バンドの引張強度とは、結束バンドに引っ張る力を与えた時に、どれだけの荷重で外れたり切れたりするのかを数値として表したものです。
輪っか状にした結束バンドを引っ張る「ループ引張強度」、結束バンドの両端を単純に引っ張る「単純引張強度」を計る引張試験機を用いて機械的強度を評価しており、その数値は結束バンドのパッケージに記載されています。
そのため、丈夫な結束バンドが欲しい場合には数値が大きなものを選びましょう。引張強度の単位はN(ニュートン)となっており、kgに変換する必要があります。
パンドウイットの「スーパーグリップの結束バンド」の場合には、ループ引張強度が80Nのため、約8.1kgの重さまで耐えることができます。
結束バンドの強度を保つポイント
結束バンドの種類や素材、使用する環境によって、強度を保つポイントはさまざまです。
一般的な結束バンドの素材にはナイロンが使用され、ナイロン66の寿命は1年から2年。耐熱性ナイロン66の場合では4年から5年。耐候性ナイロン66の場合では7年から9年とされています。しかし、外的要素によって、結束バンドの強度と寿命が縮まる場合があります。
ここからは、結束バンドの結束径、振動、化学薬品、使用温度範囲、屋外での使用について、強度を保つポイントを紹介します。
結束バンドの結束径
結束径とは、結束バンドを締めた状態のループの直径のことです。
この結束径が小さすぎてしまうと、折れ曲がろうとする力が加わり壊れやすくなるため、結束バンドの強度を下げる原因になりますので、最大結束径の範囲内で使用することが強度の維持に繋がります。
また、分厚い結束バンドで結束径を小さく巻くと更に力が加わることになり寿命が縮んでしまいますので、結束径を小さく巻く場合にはできる限り薄い結束バンドを使用しましょう。
結束物の振動
結束バンドで束ねたりまとめたりする物は、LANケーブルなどのケーブル類だけではありません。洗濯機の排水ホースを固定したり、自転車のダウンチューブにボトルゲージを固定したり、タイヤに巻いてスノー・タイヤにしたりなど、振動が加わる場所でも使われます。
どこにでも手軽に使える結束バンドですが、振動が加わることで結束バンドにかかるストレスが大きくなり、表面にひび割れが起きて劣化しやすくなるため注意が必要です。振動のある個所で使用している場合には、定期的に確認するようにしましょう。
結束物を劣化させる化学薬品
一般的な結束バンドの素材にはナイロン66が使われており、化学薬品に対する耐性はありません。そのため、塩化カルシウム、塩化亜鉛、塩化アンモニウムなどの化学薬品のある場所で使用すると、結束バンドの寿命を縮めてしまいます。
水と反応すると溶解熱を発生させる塩化カルシウムは、豪雪地帯の融雪剤や凍結防止剤として使用されているほか、硬度調整やにがりなどの食品添加物としても使用されています。水やエタノール、エーテルなどに良く溶ける塩化亜鉛は、染料や農薬の合成用、医用薬品としても利用され、配管などに亜鉛メッキが使われている場合があります。水に良く溶け吸湿性がある塩化アンモニウムは、化成肥料に含まれます。
また、油や洗剤、ハイターなどキッチン周りでも劣化を招く場合があるため、家庭菜園やキッチン回りなどでは耐薬品性の結束バンドを選びましょう。
使用温度範囲
一般的な結束バンドの素材であるナイロン66は、使用温度範囲は-60℃から85℃となっており、高温になる環境での使用には適していないと言えます。
温度が100度にもなるような場所で一般的な結束バンドを使用するとすぐに切れてしまいますが、使用温度範囲内での使用であっても高温の状態ではナイロンの加水分解が発生してしまうため、温度変化を繰り返すと寿命が縮まります。
高温になることが予想されるキッチン周りや摩擦熱が生じる場所で結束バンドを使用する場合には、耐熱性に優れた結束バンドを選びましょう。
屋外での使用
一般的な結束バンドであるナイロン66は、日光による紫外線や高温、乾燥に晒されるとダメージを受けて劣化し、色があせたり切れたりします。気付かないうちに劣化し、突然切れてしまったというようなトラブルを避けるためにも、屋外で結束バンドを使用する際には直射日光が当たらない場所を選んだり、カバーをかけたりなどの対策が必要です。
また、屋外での使用には耐候性結束バンドを選びましょう。
結束バンドの強度を保つ使い方をしましょう
結束バンドを購入する際には、どこでどのように使用するのかを考え、屋外で使用するなら耐候性のある結束バンドを、高温になる場所なら耐熱性、化学薬品を使う場所なら耐薬品性といったふうに、用途に合ったものを選ぶようにしましょう。
しかし、用途が合っているからといっても引張強度や結束径の範囲内で使用しなければ強度を保てません。重いものを支える時には、複数本の結束バンドを使って荷重を分散させるなどの工夫をしましょう。