高耐久の結束バンドとは|素材で異なる耐久性について解説
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります
結束バンドは、さまざまな素材で作られており、それぞれに特徴があります。また、しっかりと結束したいや結束物を傷付けないたくないなど、用途に合わせて使い分けることができます。ただし、どのような素材の結束バンドであっても、耐久性がなければ劣化のスピードが早まったり断絶の危険性が高まったりするため、高耐久が求められます。そこで今回は、結束バンドの素材で異なる耐久性について紹介します。
目次
耐久性とは
耐久性とは、物が外的影響に対してどれぐらい抵抗できるかを表します。耐久性が高ければ、丈夫で長持ちする傾向です。結束バンドにも耐久性がなければすぐ劣化してしまい、割れたり断絶したりして使えなくなります。
結束バンドの素材にはさまざまな種類があり、素材によって耐性が異なるため、使用される環境に合わせた素材の結束バンドが選べます。
また、結束バンドの耐久性や強度を示すものとして、ループ引張強度や単純引張強度があり、それらの数値を把握しておくことで結束バンドの劣化スピードを緩やかにすることが可能です。ループ引張強度とは、結束バンドをループさせた輪の内側から外側に向けて力をかけ、断絶した時の数値です。単純引張強度とは、結束バンドの両端を引っ張った際に断絶した数値をいいます。
結束バンドの素材について
結束バンドは、素材の違いによってさまざまな特性を持っています。ここからは、結束バンドの特性と素材の種類について紹介します。
耐熱性に優れた素材
耐熱性とは、高温の状況でも物性を維持し、安定性を高く保つ性質です。高温で耐熱性のないプラスチック製品を使用すると、柔らかくなり、変形したり伸びたりして本来の強度を保てません。また、高温に晒されることで酸化し、脆化します。
【耐熱性に優れた結束バンドの素材】
・耐熱性ナイロン6、6
・ポリプロピレン
・テフゼル(DuPont社の登録商標)
・ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)
・ステンレス
耐候性に優れた素材
耐候性とは、太陽光に含まれている紫外線から結束バンドの劣化を防ぐ性質です。紫外線はプラスチックの分子構造を破壊するため、耐候性がなければ引張強度と伸長度が弱まり、表面にひび割れが起きやすくなります。他にも変色や変形が起こります。
【耐候性に優れた結束バンドの素材】
・耐候性ナイロン6.6
・耐候性ナイロン12
・耐候性ポリプロピレン
・フッ素樹脂
・ステンレス
耐薬品性に優れた素材
耐薬品性とは、有機溶剤や酸、アルカリなどの薬品が物の表面にかかっても、浸食や溶解などのダメージが生じない性質です。多くの化学薬品では濃度や温度、圧力などの要因で結束バンドにかかる影響の度合いは違いますが、耐薬品性がなければ最も劣化スピードを高める要因となります。
【耐薬品性に優れた結束バンドの素材】
・ポリプロピレン
・耐候性ナイロン12
・テフゼル
・ポリエーテルエーテルケトン
・ステンレス
耐放射線性に優れた素材
耐放射線性は、中性子やガンマ線、アルファ線などの放射線照射を結束バンドに当て、許容放射線量を決定します。耐放射線性のない結束バンドでは、放射線照射に晒されると結晶の中の原子が移動したり核反応したり、水素やヘリウムが発生します。
そのため、素材の持つ性能が失われ、放射線劣化が起きるのです。
【耐放射線性に優れた結束バンドの素材】
・テフゼル
・ポリエーテルエーテルケトン
・ステンレス
耐湿性に優れた素材
耐湿性とは、大気中の水分である湿気や霜などに晒されても化学反応が起こらず、変質し難い性質です。高湿度下で耐湿性のない結束バンドを使用すると、結束バンドが水分を吸収し引張強度が著しく低下します。
【耐湿性に優れた結束バンドの素材】
・耐候性ナイロン12
・ポリプロピレン
・テフゼル
・ポリエーテルエーテルケトン
・ステンレス
耐難燃性に優れた素材
耐難燃性とは、物質の燃えにくい性質をいい、耐燃性とも呼ばれます。難燃性のグレードは定義されており、素材ごとの評価や比較の方法が規定されています。
【耐難燃性に優れた結束バンドの素材】
・難燃性ナイロン66
・エラストマー
・テフゼル
・ポリエーテルエーテルケトン
・ステンレス(不燃性)
高耐久の結束バンドとは
高耐久の結束バンドは、複数の特性を持つ素材の「テフゼル(DuPont社の登録商標)」「ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)」「ステンレス」がおすすめです。特に、強いループ引張強度を持つステンレス製のステンレススチールバンドは、屋外であってもしっかりと結束したい箇所に最適です。
なお、結束バンドには専用結束工具があり、工具を利用するとトリガーを引くだけで簡単に結束できます。
結束バンドを長持ちさせるには
結束バンドを長持ちさせる最も有効な方法は、目的や使用する環境に合った結束バンドを使用することです。
例えば、屋外や日差しが入る窓際で使用する際には耐候性、酸性雨が当たる場所や台所、洗面台では耐湿性や耐薬品性などです。
また、結束物によって素材を変えると、結束バンドだけではなく、結束物へのダメージも抑えられます。
まとめ
さまざまな素材がある結束バンドには、素材それぞれに特性があります。
高耐久の結束バンドのおすすめは、複数の特性を持つ「テフゼル(DuPont社の登録商標)」「ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)」「ステンレス」です。
ただし、紫外線に晒されない屋内で使用し、家電製品の余ったコードをまとめる程度であれば高耐久の結束バンドではなくてもよいため、結束バンドを選ぶ際には使用する環境に合ったものを選びましょう。