結束バンドの屋外用とは|強力に固定する方法や屋外用の見分け方
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります
結束バンドとは、家電の余ったケーブルやパソコンのLANケーブルなどをまとめたり、固定したりする際に使用するアイテムです。
また、ガーデニングや車のメンテナンスにも活用できるなど、アイデア次第でさまざまな用途があります。結束バンドには、屋外での使用に適さない種類が存在し、屋外に適さない結束バンドを屋外で使用すると、すぐに劣化してしまいます。
そこで今回の記事では、結束バンドを強力に固定する方法や、屋外用の結束バンドの見分け方について紹介します。
結束バンドの屋外用とは
屋外でも使用できる結束バンドとは、「紫外線」「温度」「湿度」「化学物質」に耐性がある結束バンドのことです。
ここでは、それぞれの耐性について詳しく紹介します。
耐候性
耐候性とは、太陽光に含まれる紫外線を受けることで起こる、分子構造の破壊を抑える性質のことです。
分子構造が破壊された結束バンドは、表面のひび割れや色あせ、変色、などが起きて劣化が進みます。
また、引張強度と伸長度が下がるため、しっかりと結束できなくなるばかりではなく、突然断線してしまう危険性を伴います。
結束バンドの素材として広く利用されているナイロン製(耐候性ナイロン6.6)は、屋外使用予測年数7年から9年です。
耐熱性
耐熱性とは、通常なら酸化して劣化する高温の状況でも、特性を損なわずに安定して使用し続けられる性質のことです。
耐熱性のない結束バンドを高温になる環境で使用すると、結束バンドが柔らかくなるため変形したり伸びたりします。
そのため、本来の引張強度や伸長度を発揮できません。高温に晒される時間が長くなればその分、酸化が進みます。
結束バンドの素材として広く利用されているナイロン製(耐熱性ナイロン6.6)は、最高継続使用温度115℃です。
耐湿性
耐湿性とは、雨や雪、大気中の水分を吸収しにくいため、変質を起こしにくい性質のことです。耐湿性のない結束バンドは、高湿度下で使用すると水分を吸収し、引張強度が大きく下がります。
結束バンドの素材として広く利用されているナイロン製(ナイロン6.6)は、24時間放置した際の吸水率は1.1%から1.2%で、ナイロン12では、 0.3%です。
耐化学薬品性
耐化学薬品性とは、有機溶剤やアルカリ、酸などの化学薬品が結束バンドに触れても、浸食されずにダメージを受けない性質のことです。
結束バンドの素材として広く利用されているナイロン製(ナイロン6.6)は、炭化水素(油・潤滑油)や塩素化炭化水素、塩基に優れた耐性を持っています。
また、ナイロン12ではさらに塩類、酸性雨に対する耐性が備わっています。
強力に固定する方法
結束バンドを強力に固定するためには、力いっぱいに締めるのではなく、結束物の直径と結束バンドの直径を合わせることが大切です。
また、使用する場所や環境に合わせた素材を選びます。
直径と結束物のサイズを合わせる
結束バンドには、素材だけではなく、サイズや長さにもさまざまな種類があります。
長さが短い結束バンドでは、数本のケーブルをまとめたり家電の余ったコードをまとめたりする際に適しますが、配管やホースをまとめるには長さが足りないため結束できません。
また、無理矢理に結束するとバンド部に折れが生じ、しっかりと結束できず、劣化の原因になることがあります。
そのため、結束バンドを購入するときには、結束したい物の直径を確認し、少し長めの結束バンドを購入します。
用途に合う素材を選ぶ
ガーデニングやDIYで結束バンドを屋外で使用する際や、まだ側の日当たりのよい室内で使用する際には、耐候性のある素材を選びましょう。
また、屋外では酸性雨や積雪の多い地域では融雪剤が散布されるため、酸性雨や塩系に耐性のある素材がおすすめです。
屋外用の見分け方
屋外で結束バンドを使用する際は、耐熱性や耐候性、耐湿性、耐化学薬品性のあるものを選びます。
結束バンドの室内用と屋外用の結束バンドは、どのように見分ければよいのでしょうか。
表示を見る
結束バンドの屋外用を見分ける方法は、結束バンドのパッケージに書かれている表示を確認することです。
屋外用と書かれているか、耐候性と書かれているパッケージを選ぶと、間違いはありません。
パッケージになんの表示もないときには、パッケージの裏面の注意書きを見ると「屋外での使用は禁止」や、「耐候性がある」と書かれていることがあります。
結束バンドの色を見る
パッケージを確認するより簡単な見分け方として、結束バンドの色を見る方法があります。
多くの結束バンドメーカーでは、屋外用の結束バンドに黒色を採用しています。その理由は、物質の性質に影響を与えない「カーボンブラック」と呼ばれている安定剤が配合されているためです。
カーボンブラックは、炭素主体の微粒子のことで、非常に高い耐候性を持っています。
まとめ
さまざまな用途で活用できる結束バンドには、室内用と屋外用が販売されています。
屋外用の結束バンドは、紫外線や温度、湿度など劣化の原因となるものに対する耐性があるもののことを指します。
そのため、屋外はもちろん、室内の日当たりのよい場所でも使用には、耐性のある結束バンドを使用しましょう。
耐性のない屋内用の結束バンドを紫外線の当たる場所で使用すると、紫外線がプラスティック(合成樹脂)の分子構造を破壊して強度が下がるためです。