難燃性ナイロンとは?メリットやデメリットもご紹介!
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります

難燃性ナイロンとは、燃えにくい性質を持つナイロン素材のことです。
優れた安全性から幅広い業界で注目を集めており、さまざまな用途で使用されています。
本記事では難燃性ナイロンの基本的な概要や、ニーズについて詳しく解説していきます。
また、メリットとデメリットも踏まえて、どのような場面での使用が適しているのかも紹介します。
難燃性ナイロンの導入を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
難燃性ナイロンとは
まずは難燃性ナイロンの概要や、メリット、デメリットなどを紹介していきます。
難燃性とは
難燃性とはその名のとおり燃えにくく、燃えたとしても自己消火性を持つ特性のことです。
特にプラスチック材質においては、難燃性が注目される場面が多くあります。
なぜなら、通常プラスチックは金属とは異なり有機物を含むため、燃える特性があるからです。
なかでも高温環境や火の気の近くで使用される製品では、燃焼拡大による火災の危険性が高まります。
そのため、難燃性は重要な指標のひとつとされています。
難燃グレードとは
難燃グレードとは、プラスチック部品の燃えにくさの度合いを示す指標であり、主に「UL94規格」にもとづいて分類されています。
「UL94規格」とは、米国の製品安全認証機関である「Underwriters Laboratories(UL)」が策定した規格で、プラスチックの安全性評価において広く採用されています。
これは、プラスチック試験片に火を当てる水平燃焼試験や垂直燃焼試験を行い、その燃焼の程度や自己消火性にもとづいてグレードを判別する方法です。
難燃グレードは難燃性が高い順に、以下の6段階に分類されます。
- 5V-A > 5V-B > V-0 > V-1 > V-2 > HB
たとえば「V-0」以上のグレードは自己消火性があるため、家電製品などの用途で推奨されます。
このように難燃グレードは、プラスチックの安全性や適用分野を決定するための指標です。
特に火災リスクを伴う製品や部品の設計において、適切なグレードの材料を選定することが製品の品質と安全性の向上に繋がります。
難燃性ナイロンのニーズ
現代の製品設計において、難燃性材料の需要は年々高まっています。
これは、より厳格化する安全規制や製品に求められる安全基準が高まっているためです。
難燃性材料は火災の発生や燃え広がりを防ぎ、製品や人々を守る重要な役割を果たします。
よって、難燃性材料の需要は今後も拡大すると予想されます。
特に、難燃ナイロンのような安全性と性能を両立させた素材は、さまざまな分野でさらなる活用が期待されるでしょう。
難燃性ナイロンのメリット
難燃性ナイロンのメリットは、引火性を抑えられて火災リスクを低減することです。
危険性の高い環境での使用に適しており、さまざまな分野で需要が高まっています。
さらに、難燃性ナイロンは安全性の向上だけではなく、通常のナイロンと同様の強度や柔軟性、耐久性を備えているのも特徴です。
安全性と性能を兼ね備えた素材として、多様な産業での活用が期待されています。
難燃性ナイロンのデメリット
難燃性ナイロンは多くの利点を持つ一方で、いくつかのデメリットも存在します。
1つ目は、燃焼時に有害な化学物質を放出する場合があることです。
2つ目は、一般的なナイロンよりもコストがかかることです。
難燃性ナイロンは優れた特性を持ちながらも、環境への配慮やコスト面での課題を伴うため、用途や予算を考慮する必要があるでしょう。
難燃性ナイロンの種類
難燃性ナイロンの種類はいくつかありますが、ここでは代表的な以下の2つを紹介していきます。
ナイロン66
ナイロン66は「UL94規格」のV-0グレードで、自己消火性のあるナイロンです。
耐衝撃性や耐油性、耐薬品性などにも優れています。
また、表面硬度が大きく、摩擦係数が少ないのも特徴です。
電気・電子産業や通信産業、航空宇宙産業などの幅広い分野で活用されています。
ナイロン46
ナイロン46は、ナイロン66よりも耐熱性・耐摩耗性・耐衝撃性が高いのが特徴です。
耐薬品性・耐油性・絶縁性にも優れた材料であり、高温環境下での使用に適しています。
また、電子機器の高温部分やエンジンの部品などにも利用されています。
過酷な条件下での使用において、評価されている材質です。
まとめ
本記事では、難燃性ナイロンの概要やニーズなどを解説しました。
難燃性ナイロンは燃えにくい性質のあるナイロンのことで、近年ニーズが高まっており幅広い分野で使用されています。
難燃性ナイロンの中にもグレードがあり、6段階で評価されます。
安全性が高く、通常のナイロンと同等レベルの機能を有するのがメリットである一方で、コストがかかったり有害な化学物質を放出したりする点がデメリットです。
メリットとデメリットを理解したうえで、ニーズに応じて利用すると良いでしょう。