結束バンドの仕組みと「締付け強度」「締付け保持力」の違い
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります
結束バンドを締付けている最中と締付けが終わった後を比較すると、結束対象物にかかっている締付け力は同じではありません。こちらでは、結束バンドの基本的な仕組みや「締付け強度」「締付け保持力」の違いについてお話します。
結束バンドの仕組み
一般的な結束バンドは、ストラップの溝とヘッド部に内蔵されたツメがかみ合うことでロックされます。ストラップに刻まれた複数の溝により、さまざまな結束径に対応できる仕組みです。戻ろうとするストラップの力に対して反対方向にロックの力が作用しているため、基本的には経年劣化や結束バンドへのダメージ以外の要因で自然とゆるむことはありません。
結束の際には、結束バンドのループの径が結束径に到達するまで締付けが行われます。ストラップに締付ける力が働いている段階では、ストラップの溝とツメによるロック機構は作用していません。結束径まで締付けられた時点で結束工具、もしくは手による締付けが完了し、ストラップを引っ張る力がなくなります。この際、ストラップが締付けとは反対方向に戻ることにより、はじめてロック機構が作用します。
締付け中(結束バンドのループを引っ張る力が働いている最中)の力を「締付け強度」、引っ張る力が失われロック機構が働いてから結束に作用している力を「締付け保持力」と定義しています。
締付け保持力は、締付け強度よりも下がる
締付け強度と締付け保持力の違いについてはお話しました。原則として、締付け強度に対し締付け保持力は下がります。この理由について詳しくご説明します。
ストラップの戻り幅・溝のずれ
上述したとおり、結束バンドは引っ張る力が失われストラップが若干戻ることによってロック機構が作用します。ストラップが戻る際には、ヘッド部のツメにかみ合うストラップの溝が最大で一山分ずれます。このもどり幅による力の減少が、締付け強度と締付け保持力に差が生じるひとつの要因です。
結束対象物の弾性
締付け完了時のストラップの戻り幅は結束対象物の弾性にも影響されます。対象物が弾性に優れている場合、ストラップの戻る力が弾性に吸収されるため戻り幅はわずかです。対して、対象の弾性が低い場合は戻る力が強いため、締付け強度を締付け保持力の差は大きくなります。
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締付け強度と締付け保持力の違いについてお話しました。