寒冷地でも注意が必要!結束バンドの性質について
※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります
「結束バンド」は、配線工事などの時には欠かせない製品の1つです。
さまざまな場所で利用されている結束バンドですが、「寒冷地」で利用する際には特に注意が必要になります。
そこで今回は、結束バンドを寒冷地で利用する際の注意点と対策を紹介します。
結束バンドの基本的な性質を知ろう!
「結束バンド」は、主に複数のケーブルなどを束ねてばらばらにならないよう固定するときに利用される製品です。
工場や研究施設などの業務環境だけではなく、家庭にも結束バンドが普及し、使い勝手が良い素材として広く使われていますが、屋外で使用する場合には劣化を防ぐために耐候性、高温の環境で使用する場合には耐熱性など、性能が重視され、環境にあった特別な材質が使われています。
一般的な結束バンドの性質
一般的な結束バンドは、ナイロン66やポリプロピレンなどの柔軟性や耐久性に優れた樹脂で作られています。金属のように錆びないことや工具を使わなくても曲げたり、締め付けたりすることができるため、配線結束用資材として活用されるようになりました。
国内では、100%植物由来樹脂(ナイロン11製)の結束バンドが開発され、高機能製品として販売されています。
結束バンドが劣化する原因
結束バンドが劣化する原因には、いくつかの原因があります。
・カバーなしで直射日光にあたることで結束バンドの表面にひびが入るなどして結束バンドの寿命が縮む、日光により劣化。
・乾燥した場所、高温や高湿度の場所で素材の加水分解が起こり、結束バンドの寿命が縮む、乾燥により劣化。
・結束をする部分が小さいことで折れ曲がりの力が加わり、その部分から結束バンドの寿命が縮み劣化。
・荷重による負荷が大きくなることで結束バンドへの負担が大きくなり寿命が縮む、荷重の負荷により劣化。
・振動の大きな環境で使用することで結束バンドの表面が割れやすくなり寿命が縮む、振動により劣化。
・化学薬品や雨(酸性雨)などに触れることで結束バンドの寿命が縮む、化学薬品により劣化。
耐候性のある素材
さまざまな環境がある中、結束バンドの種類があり環境に適しているものもあります。
①耐候性ナイロン6.6
耐候性ナイロン6.6は、マイナス60度から80度まで耐えられ、その予測寿命は7年から9年です。過酷な気候や環境下でも、耐久性の高い素材として使用されています。
②耐熱耐候性ナイロン6.6
耐熱耐候性ナイロン6.6は、0度から115度まで耐えられ、その予測寿命は7年から9年です。高温になる環境でも高い耐久性を発揮します。
③PEEK
PEEKは、260度の環境下でもループ引張強度が衰えず使用可能で、その予測寿命は1年から2年です。ハロゲンフリーの素材燃えにくく、高い耐放射性を保ちます。
寒冷地でも安心に利用できる結束バンドとは
それでは次に、なぜ寒冷地で結束バンドを利用する際に注意が必要なのかを説明します。
「寒冷地」はなぜ危険なのか
冬場に気温が著しく下がる地域では、一年を通して降雪や積雪が多くなります。
一般的な結束バンドはナイロンやポリプロピレンなどの樹脂で作られているため、温度が低くなると硬化して破断しやすくなってしまうのです。金属のように錆びないから安心と思っていると、突然破断して固定ができない状況になる危険性があります。
目視で劣化状況を把握することは困難であり、予防が難しいため、結束バンドを使用する際には耐候性の高いタイプを選択することが必要不可欠なのです。
寒冷地でも利用できる結束バンド
厳しい寒冷地でも使用できるように、特別な材質で製造されている結束バンドがあります。
それが「フッ素系樹脂」です。
低温でも結束力が変わらない素材のうえ、マイナス80度程度までは耐えられるので、基本的には寒冷地全般で利用できます。
凍結防止剤の落とし穴
積雪や気温の低下によって路面が凍結する恐れがある環境では、凍結防止剤を散布して対策をとるのが一般的です。
しかし、凍結防止剤には塩化カルシウムなど腐食性のある成分が含まれており、これが樹脂表面に触れることで劣化が始まり、見た目は変わらないまま突然破断する恐れがあります。ケーブルがばらばらになってしまうと、停電や路肩で使用されている照明器具の故障などを招く恐れがあるため、降雪地帯での使用は注意が必要なのですが、対策されたものも発売されています。
結束バンドを購入する際には、対応している温度の範囲と、耐候性の確認をしましょう。
環境に適した結束バンドを利用しよう
余ったケーブルなどを束ねたり、固定したりと使用方法も多く、屋内や屋外と使用する環境もさまざまな結束バンド。
特に気温の低い場所や積雪する環境で使用する場合には、耐候性であることと温度の範囲が適当であることを確認してから購入しましょう。また、寿命内に交換することを忘れずに行い、安全に使用しましょう。